開業屋 原田 諦の飲食ビジネス情報  ≪飲食店指導実績 300社533店舗以上 日本一の飲食店・開業屋≫

コンサルティング実例集


ごまかし上手なママさん!
このストーリーは、私のコンサルティング実例を記事にしたものです。

今回は、店のレジから頻繁にお金を持ち出す経営者の問題を取り上げます。
三重県K市に大型居酒屋と外国人パブとクラブを経営する女性経営者が、売上アップの相談に来社した。
チョット肥満過ぎる50代の女性だが、とてもクラブの経営者とは思えない普通の身なりである。同伴してきた20代の女性がいたが、彼女が娘であった。
彼女の相談は、最近売上が著しく低下していて不安でたまらない。と言うことであった。
「それで、帳簿はつけていますか?」
「いえ、会計士と事務員に任せているんですが!」
「なぜ売上が落ちていると思いますか?」
「最近、板前さんたちが言うことを聞いてくれないんですよ」
すると、そばにいた娘が、
「それはママが原因でしょう!」なんとも冷たくその経営者に向かって言うのである。
「ほう、どうしてですか」

娘が私に訴えたのである。
「先生!恥ずかしいのですが、何でもお話しなくては分ってもらえないのでお話します」
「ええ、何でもお話ください!心配は無用ですよ。何処にも洩らす事はないですから」
「実は、うちのママは、全部の店のレジから毎日お金を抜いていくんですよ」
「え、どうしてそんな事をするんですか?」
「先生!うちの従業員は、売上が多いと私が儲かっている、儲かっていると言って、お金が足らなくても、本気にしてくれないんですよ」
「ですから、毎日抜いたお金をためておいて支払いに回しているんです」
「ママさん!そんなことをしても同じ事ではないんですか」
「私は、給料と言うものがありませんから、そのお金からお父さんとの生活日を取っているんですが・・・」
こんどは、娘が、 
「ママがそんな考えだから、みんなママはお金を沢山持っていると言うんじゃない!」
「だって、店のお金を全部銀行に入れられたら、返済金を引かれて支払いも出来ないじゃない。お前も少しは考えてよ!」


こうして、親子の言い争いが始まってしまったのである。
相当、複雑な問題がこの会社には起こっているに違いない。コンサルを引き受けるとすれば、相当覚悟をしなければならないことを感じたのであった。
「先生!私は、先生の経営者塾に参加させてもらえないでしょうか?」
娘の方がいきなり言い出してきたのである。
「それは結構ですけど」
「うちの店は、誰も経営について詳しい人が居ないんです。だから、全て回りの人たちに振り回されて、言うなりになっているんです。そして、ママは自分のことばかり考えているものですから、従業員からはいつも怒られてばかりです」
「そうですか!一度、お店のほうへ行かせて頂きますので、それからどうするか決めましょう」
こう言って、二人を帰した。しかし、何となく嫌な胸騒ぎがしていたのであった。
古株の板前との格闘!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ!
居酒屋とクラブを経営している親子が事務所に相談に来た。話を聞いているうちに、そこのママがレジからお金を毎日抜いていると言う。私の前で親子の言い争いになった。私は、その会社へ出向いて実情を調べることにしたのである。

駅に着くと、なんとロールスロイスに乗った娘が出向かいに来ていた。これで本当に、お金に困っているのだろうか!何となく不安になった。
「凄い車に乗っているんですね!」
「弟が外車の販売やっているので、引き取った車を私が乗りまわしているだけですよ。」
ジーパン姿の彼女は、まだ26歳だと言う。
ロールスロイスに乗せられて、着いたところは、町の中心にあるナイトレジャー街であった。
「先生!この二階なんですが!」

その店先には、居酒屋の大きな看板が掲げてあった。私が二階へ上ると、ママが迎えに来ている。店は100席を越える大型店舗である。
「先生!お忙しいところをすみませんね!」彼女は太った身体を揺すりながら愛嬌を振りまいた。
「いえ、とんでも有りません。皆さんはおそろいですか」
「ハイ、全員出てくるよう伝えてあります」
「それでは、早速ですが、ミーティングを始めたいと思いますので、席を作ってください」
そこには、50歳を過ぎた板前が4人と20代の従業員やクラブのチーママが3人も出ていた。
自己紹介をしてから、本格的な話に入ろうとしてそのとき、
「先生!わたしゃ、コンサルタントなんて信用していないんですわ!」
一番年配の板前が、いきなり私を拒絶したのである。すると、そこへママが、
「松っさん!そんな事いわないでよ!こんなに売上が下がっているのに、私たちだけではどうにもならないじゃないの」すると、こんどは、もう一人の年配板前が、
「売上が下がったって、あんた儲かっているじゃないか!」

なんと、経営者を捕まえて”アンタ”呼ばわりである。
「新さん!あんたね〜何が儲かっているの、私は毎日、毎日お金に追われて駆け歩いているのに!」
「そりゃ、あっちコッチに土地を買いあさるからそんなんじゃろうよ!」
「あの土地はね〜銀行さんから勧められたから、付き合いもあるし、融資をするからといわれたから仕方ないじゃないの!」
今度は、別の板前が言い出した。
「アンタね、息子や娘に店の金を使い放題にさせているから、そうなんだよ!俺達は馬車馬のごとく使い放題使って、給料も上げるわけじゃないじゃ」
なんと、私が口を出す場面は全くない状態であった。そこで、私は、
「皆さん!チョット待ってください!いろいろな話があるようですので、まず、整理をしてから話してください」
こういうのが精一杯であった。しかし、何から切り出していけばよいのか、全く見当も付かない。私は、とりあえず、この修羅場を切り抜けるしかなかった。
前と経営者の修羅場を見る!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ。
経営不振のコンサルを依頼された私は、店の従業員達とのミーティングに入ったが、古株の板前と経営者の言い争いで、ミーティングにならない状態であった。

「それでは、皆さんが言い分があるみたいですが、ここは、一つ後ほど私との個人面談にしてください。それから私がママさんと話し合いますから、いいですね!」
「私は、皆さんと同じ様に、調理人出身ですので、貴方達の苦しさは分っているつもりです。しかし、店の経営が苦しくなれば、貴方達の仕事はもちろん、この店の行く先も見えてこないでしょう。したがって、今日は、私の話を聞いてもらってから、意見を述べてください」
私は、この修羅場を一方的に断ち切ってしまったのである。
経営の状況を経理担当から伺ってから、彼らに問うことになった。なるほど、前年売上比85%であった。
「それでは、皆さんは売上が落ちてきた原因は何処にあると思いますか」
すると、一番古い板前が、


「先生!うちのママは、あちこちの店を見てきては、このメニューをやれとかアレをやれとかいうので、従業員が足らないんですわ!」
なるほど、メニューを広げてみると、店の規模とは全くつりあわないようなメニュー数だ。
「本当ですね!こんなにメニュー数があったら、仕込みも大変ですよね」
「そればかりじゃないですよ!朝4時まで営業させるものだから、みんな疲れきってしまって、元気も出ない状態なんですよ」
「そうですか、ママさんどうしてこんなにメニューを増やすんですか!これでは、提供時間も遅くなりお客様に迷惑が掛かるばかりですよ!」
「すいません!私がこれやれアレやれといわないと、誰もメニューの開発をしてくれないんですよ!」
すると、もう一人の板前が、「あんた、何でも買ってくるから、コッチはその材料を裁くのに大変で、コレ以上何を開発すんだよ!」
「だって、あんた達がしないから私が買ってくるしかないじゃない!」

「だから、買ってくるなら板場に相談してから買えばいいんだよ。冷蔵庫の中を見てみなよ、これまでの売れ残りで一杯なんだよ。それ以上何を開発すれんじゃ〜」
なんか、話を聞いていると、夫婦か身内みたいな感じがした。しかし、全くの他人で、従業員と言うことであった。
「分りました。今日は板前さんだけが残って、後の人は店に出てください!又次に来たときにお話しましょう」
こう言って、他の人間達を仕事につかせることにしたのである。このままでは、他の従業員はいても意味がないからである。
板前とママの言い合いがその後も続いたが、結論は出ない。そのうちに仕込みの時間が来てしまった。そこで、
「みんな、一端仕事場に戻って、仕込みをしてください。後で手のあいた人から色々聞かせてください!私は貴方達が働きやすくなるよう考えますので、協力してください。」
みんなは納得した様子でそれぞれが仕事場に戻った。
それから、6時間後、一人の板前が、
「先生!個人的に私は話があるんじゃが、聞いてもらえんじゃろか!」

深刻な顔をして、こっそり言い寄ってきたのである。
これは、もう人生相談になりそうだ!どうしよう・・・。
悲壮感漂う板前との密談!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ。
居酒屋とクラブを経営している女性経営者と娘に依頼されたコンサルティングから、とんでもない関わりをもつことになってしまう。

その晩、ママに連れられて、この会社が経営する「クラブ」へ連れて行かれた。私はお酒を飲まないほうなので、とりあえず店舗視察である。この店は大変繁盛していて、お客様は満員の状態である。先ほど会議に出席していたチーママが笑顔で挨拶に来た。
「センセイ!オツカレサマデシタ」
この口調から中国人に違いない。
「有難う!繁盛していますね」今度は、経営者のママが、
「先生!この店は智子に任せているんですよ」智子とは娘のことらしい。
「そうですか、娘さんもやりますね!」
こうした会話をしていると、
「先生!お疲れ様でした!」


そこには、あのロールスロイスを乗りまわしていた娘がドレスを着て入ってきた。
「ほう!お化粧をすると、別人ですね」
「今日は、先生がいるから普段よりもお化粧の時間が長かったわ!」
さすがは、クラブの経営者だけの事はある。男の扱いに慣れている。
そんなところへ、あの相談があるといっていた板前が店に入ってきたのである。
「あら、竹ちゃんお疲れ様!」娘の智子さんが板前を私の席へつれてきた。
「先生のところでいいでしょう」
「ああ、いいよ!」
店が結構込んでいるのに従業員が飲みにきても、一般と同じ扱いをしているらしい。
「外で話しましょうか」私は気を使ってこういった。すると、
「先生!ここへきたら、ワシらはちゃんとお金取られるんだから、気を使うことないですよ」
「そうですか、従業員割引ですか?」
「いやとんでもね〜、給料から引かれるのはお客扱いですよ」
なんと、従業員からもちゃんと稼いでいたのであった。

「ところで、竹さんとか言いましたね!どのような話ですか」
「実は、先生に聞いてもらいたいのは、ここの店のことなんですが、どうにかなるんですかね!わしゃ今年で18年使えているんじゃが、毎年悪くなるばかりでね!これまでにもコンサルタントという人が何人も来たけど、理屈ばかりこねて、結局何も出来ないで余計混乱させていくんですわ」かれは、そういいながら、ミラーボールに照らされている私の顔を覗き込みながら言った。
「そうですか!はっきり言って、余り自信ありませんね!今日の会議を見ても、誰が経営者なのか、誰が板長で、誰が店長なのかもはっきりしていないんですから、皆で責任転換が出来ますよね。でも、従業員同士がやりあうと仕事がやりづらいから、経営者を吊るし上げているんでしょう」
「いや、吊るし上げているわけじゃないんだが、今日皆が言っていた事は本当のことなんですわ」
「それにしても、経営者に対して言っていいことと悪いことがありますよ。」
「それはワシらが悪いんですよ」

なんとも素直であった。
「先生!先生はワシらと同じ調理人上がりだというのをママから聞いて、ワシらはなしを聞くことにしたんじゃが、これからもワシらの力になってくれんでしょうかね」
なんと相談とはこのことだったのである。
「ええ、皆さんが本当に店の改革にご協力いただけるならば、喜んでお手伝いしますよ」
「そうですか、そりゃー良かった。では、明日が早いんで、ワシは帰りますが、先生ゆっくりしていってください。来月来てくださるときには、ワシは休みを取って待っていますわ」
そう言って店を出て行った。私は、経営者とその晩、徹夜で話し合った。彼女は、元デパートに勤めてそれから居酒屋、クラブ、カラオケ、など色々な事業をしてきているが、どうも、経営に関する、ここの癌は、息子にあるらしい。娘が店を抜け出して、このミーティングに参加した。娘と息子の仲も良くないらしい!ああ、どうなるんだろう。
古参板前と身内騒動!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ、
経営相談に来社した親子の会社を訪問した私は、板前と経営者の板ばさみに合ってしまう。

それから、私は、深夜遅くまでママと娘の話をもう一度聞くことにした。
「ママさん!板前達が言っていた事をよく説明してもらえませんか。事情が良く分らないことには、経営活性の方向を見出すことは出来ませんので!」
「先生!あの人たちは私をこれまで支えてきてくれた事は事実なのですが、売上がここまで落ちてくると、あの人たちの力ではどうにもならないと思いまして、先生にご相談したのです」
「それは分っていますが、皆さんが口を揃えて言う事は、身内に対する不満ばかりなのですが、それでは解決の糸口を掴むことも出来ません」
すると、娘が言い出した。
「先生!弟が自分の会社の経営失敗でお金が足らなくなり、ママが何でも言うなりにお金を工面してあげているものですから、みんなはそれを知っているんですよ。」
「どうして、家族の問題を従業員が言っているんですか」

すると、今度はママが、
「先生!息子に貸しているお金は皆私の土地を担保に銀行から借りているんで、店のお金を使っているわけじゃないんですよ!」
すると、娘が、
「だって、ママ、銀行さんへ返済しているお金は皆店の売り上げからじゃないの!そんな事をみんなが知っているのよ!」
こんな話が延々と続くのであった。私は、
「分りました。ママさんも智子さんももう一度確認しておきますが、資金ショートしているのは別の資金用途も含めてなのですか」
「ハイ!そうなんです」
「それでは、幾ら店が売上を上げようが、利益を出そうが、資金ショートは延々と続くのではないですか」
二人は黙って、下を向いて返事はなかった。
「今日はこの位にしてください!明日は広島へ出張しなければなりませんので、申しわけありませんが、来月、又来ますので今度は、経理担当者を呼んで置いてください」


私は、こういって二人を帰したのである。
それから一ヵ月後、私はこの会社を訪問した。すると、先月とは見違えるほど、板前達が笑顔で私を迎えてくれた。
「先生!ご苦労様です」
「どうも、先月は遅くまでお疲れ様でした!その後どうですか」
「相変わらずですよ!先生!先月ママに言ってくれましたか」
「言いましたが、双方の言い分を聞いていてもらちが明かないので、経営分析から問題点を見つけることにしました」
「それよりも、今日は、皆さんとの勉強会をしたいので申し訳ありませんが、一時間だけ参加してください。」
「いいですよ!みんなこの店が良くなる事を考えているんですが、ママが、金がない!金がない!と言うもんだから、従業員が嫌がってやる気を起こさないですわ!」
「そうですか、もし私が力になれるとしたら、皆の力を借りなければ出来ないことなので協力してくれますか」
「もちろんですよ!なぁ〜皆!」一番古参板前の竹さんが皆に一声掛けた。

「先生!何とかお願いしますよ。みんな給料も上がらないし、毎日15時間も働いているんで働く人も入ってこないんですよ」
その中の一人がこういった。
そして勉強会が始まった。勉強会といっても、板前とクラブを任されているチーママ二人の6人である。とりあえず、ここでは、料理の原価削減方法と人件費の削減について話し、難しい話は避けることにしたのである。
そこへ、事務員がやってきた。
「先生!頼まれていました帳簿を持ってきました。毎日の売上と会計士から送られてきた月次損益です」
「有難う!それでは、板前さんとママさんは仕事に就いてください!又あとで時間のあいた人はお話しましょう」
こうして、私は、帳簿に目を通す事になったのだが、なんと、その帳簿からは、相当額の利益が出ていたのである。私は、どのように理解すればよいのか、迷ってしまうほどであった。

全部偽物で埋め尽くされた会社!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。名前は架空です
これまでのあらすじ、
私は、クラブと居酒屋を経営する親子の依頼を受けてコンサルティング契約をした。会社訪問も二回目になったその日、帳簿をチェックした私は驚いた。
「こんなに利益が出ているんじゃありませんか」居酒屋が毎月200万円を下らない利益をだし、クラブは毎月400万円もの利益を生んでいる。ただ、シアターと言う店の赤字が毎月100万円くらいある。それでも、毎月500万円ほどの利益が出ているはずである。
「でも、先生!帳面で利益が出ていても手元には何も残るどころか、金策に追われているんですよ」
「それは、先月聞きましたが、息子さんに回しているんじゃないんですか?」
「先生!そのお金はママが毎日レジから抜き取っているお金ですので、売上から削除されているんですよ」


「えっ、それじゃもっと儲かっていると言う事ですよね」たしかに、居酒屋の売上は1700万円、クラブの売上が毎月1000万円もあるのだから、もっと儲かっていてもおかしくない。
「帳簿にどうして載っていないのですか」
「会計士に任せいいるので、私はよく分りませんが、銀行の心象が良くなるだろうって、」
「えっ、帳簿もでたらめなんですか、これでは仕事が出来ませんので、会計士をここへ呼んでください」
娘の智子が携帯電話で会計士を呼びつけた。この会社の近隣に済んでいると見えて、10分くらいでやってきた。
「先生!これはどう言うことなんですか!毎月の利益と資金が会わないんですが」私は、彼を睨んでこういった。
「いや、原田先生!この帳簿は、ママが送ってくれる毎日の売上と支払を載せているだけで、それをコンピューターで管理しているだけですわ」

なんと、この会計士もでたらめであった。
「それじゃ、会計士の仕事とはいませんよね、会社の事務員の仕事じゃないですか」
「そういわれましても、それ以上のデーターが送られてこないものですから・・・」
こういって彼は逃げ腰でいた。
その日、私は何も出来ないまま、帰宅することにしたのである。
「智子さん、店の支払予定表、ならびに支払しなければならない伝票や請求書の全てを集めて事務所まで持参してください。事務員さんと共同で全て拾い出してください」
こういって、店を出たのである。これまでにこんなにいい加減に経営をしている会社を見たことがない私は、イヤになる反面、全てを解き明かす興味も湧いていたのである。
営続行の危機!
このストーリーは、私のコンサルティングの実例です。
これまでのあらすじ、
居酒屋とクラブを経営する親子の依頼を受けて、私はコンサルティングを受けてしまったが、どうしようもならない難題に直面してしまう。

それから二週間後に親子がやってきた。依頼しておいた資金運営のためのデーターである。
これを見た私は、唖然とするばかりであった。毎月の利益よりも借入金返済の方が600万円も多いのである。
「これでよくここまで経営が持ってきましたね!」
「ですから、お金の工面で毎日走り回っていますよ」ママが自慢げそうにこういった。
「これから、どうするんですか。これでは続けられないでしょう」
「何とかならないですかね!」ママに不安の顔色はない。
「でも、このままでは、借りるところも無くなるんじゃないんじゃないですか」

「残された手段は、何処かの銀行に現在の借入金をまとめて貸して貰い、借り入れ銀行を一口にすることです。あるいは、あなたの不動産を全て売却して、返済金へ充当する事です」
「いいですか!このままでは経営を続ける事は不可能ですよ」
「分りました。帰って、銀行へ行ってきますので、先生!その計画書を作ってもらえないでしょうか」
私は、ここまで来た以上何とかなるようにアドバイスするしか、方法が残っていなかったのである。
「分りました。これまでのデーターを基に経営改革案と経営計画を作成しておきましょう」
二人は、私がこの作業を引き受けたことへ安心して、帰っていったのである。
それから、一ヵ月後、あのママから電話が掛かってきた。
「先生!先生のおかげで、銀行さんがこのコンサルタントが着いているならば融資しても良いといってくれました。有難うございました」
彼女の声は弾んでいた。しかし、私はより不安を膨らませていたのである。

原価削減に経営者と従業員の争い!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ、
コンサル依頼を受けた私は、帳簿のチェックから資金繰りを優先することになったが、運のよいことに、経営者が銀行から借入金のまとめ融資を取り付けることが出来た事が報告された。

「それは良かったですね、それでは早速、資金運営計画を立てなければなりませんが、融資のお金を他の支払へ回しては駄目ですよ」
「ハイ、分りました。」ママは素直に私の忠告に対応して来た。
何となく、嫌な感じがする。これまでも、何回となく、裏切られてきただけに、信用することが出来なかったのである。
それから、わたしは、この会社を訪問したのは一ヶ月後のことであった。
駅への出迎えは、いつもどおりに娘の智子が、ロールスロイスに乗ってやってきた。
「先生!有難うございました。おかげさまで、ママが喜んでいましたよ」

「喜んでばかり入られませんよ!これからが大変なんだから、智ちゃんもしっかりしないと、どうなるか分りませんよ」
「ハイ、先生の言う通りに私は店を運営していきますわ!」
店に着くと、ママと従業員達が集まっていた。
「おはようございます。」
訪問を重ねるたびに、彼らの表情は柔らかくなっていた。
「今日は、メニューの整理をしていきましょう。こんなに多いメニューではロスが多くなるので原価削減が出来なくなりますので!」私は、メニューの三分の一をカットすることを決めた。すると、ママが、
「先生!でも、これまでこのメニューを注文する人もいるので、お客さんからクレームが出るのでは?」
「このメニューばかりではなく、全てのメニューにお客さんのファンはいますよ。しかし、メニュー全体を変えることによって、古いメニューをカットして、新しいメニューを加えてコントロールしますので、あとは接客時に上手に対応する事です」

こうして、削減するメニューを商品別売上ABC分析により、半数近くまでカットした。さらに、今度は、新メニューとして、居酒屋で人気のメニューやオリジナルなメニューを加え、これまでのメニューの三分の一のメニュー数を減らしたのである。
従業員達は、満足そうであったが、ママは、なんとも気に入らない様子である。
「ここまでメニューを減らしたら、若いお客ばかりになってしまうんじゃないですかね。そうすると、お客様が減って売上が落ちるような機がするんだけど!」すると、
「ママが買い物を控えてくれれば、売上が下がってもロスがなくなり、原価は下がるので心配要らないわな〜」一人の板前がこういった。すると、
「何言ってんのよ!あんた達が仕入れをしないから私がしているんじゃない」
「朝の五時ごろまで仕事させていて、どうやって仕入れにいけるんだよ!あんたが言っている事は、人を奴隷みたいに考えているんじゃ」
板前とママの言い争いが始まった。
「チョット待ってください!どちらも、この場合には、原価を低下させることだけを考えて!」

もう、どうにもならない!この会社は、ルールもないし、上下関係もないことから、こうした言い争いがすぐに始まるのであった。
一難さって又一難が降りかかる。本当に、大変な会社の顧問を引き受けてしまった。後悔しても始まらないが、とりあえず、メニュー改正は強行に実施することにしたのである。

原価削減へメニュー改正!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。
これまでのあらすじ、
居酒屋とクラブを経営する親子に依頼された経営改善は、様々なドラマをクリアーして何とかスタートラインについた。

メニュー改正の方針が決まって、板前達のやる気が増してきたように感じる。しかも、そのメニューは、価格の見直しからレイアウトの変更まで、全くと言えるほどに新しくしたことから、広告宣伝で勢いをつけることにしたのである。
「先生!これで何とか私たちもママに振り回されずに仕事が出来ますよ!」
板前の竹さんがこういった。
「まだ、安心してはいけませんよ。これから何が起きるか分らない会社ですからね!」
「そうなんですよ!以前頼んだコンサルタントは、二ヶ月で逃げ出してしまったくらいですからね!」
彼の言葉から、以前にも経営コンサルタント会社に依頼していた事実が分った。

「そうですか!私も逃げ出したくなりましたよ。でも、あんた達が苦しんでいるのを見ていられなくてね!」
「いや〜、先生のおかげで何とかなりました。今度はワシらが頑張りますわ!」
「そうしてください。全ては貴方達のためになることですから!」

こういって、板前達との話し合いが終わり、今度は、例の親子との話し合いに入った。
「ママ、このままでは、利益が出ても全てが返済金に回されることになりますので、全く余裕がありません。そこで、会社を分割させてはどうでしょう」
わたしは、経営安全のために、会社の分割を勧めたのである。
「風俗営業と居酒屋の経営を分離させることによって、居酒屋の銀行融資が有利になりますよ」
「そうですか!それはいいことを聞いたわ!早速、その手続きをしますわ」
「チョット待ってください!借り入れを増やすことではありませんよ!今度のまとめ融資をしてくださる銀行さんへ担保融資分と運転資金融資分に分けてもらうことによって、金利が楽になると言う意味ですよ!」


私は、この経営者はむやみに借金をすることから、恐ろしくなってこう言った。
「分りました。銀行さんへ明日行って聞いてきます」
こうして、クラブ経営は娘を社長にして新会社を設立させた。この会社は無借金会社であることから、いままでの会社へ家賃と現在の設備使用代金、そして、ママへの役員報酬を支払うことにさせて、双方の会社にメリットが出るようにしたのである。

それから、二ヵ月後、経営に変化が現れてきた。まず、居酒屋の原価率が5%も下がったために、収益はこれまで以上に膨れ上がってきた。さらに、人件費も一人分削減できたことから、毎月35万円の節約になった。これで、居酒屋の利益は、月に300万円を得られることになったのである。一方、クラブの方は、娘の智子が社長になった自覚と責任が生まれて、張り切りだし、売上を20%も伸ばしているのである。
こうして、この会社の経営は、何とか順調に滑り出したのである。しかし、これからどうなるか、ママと従業員の格闘は、まだまだ続くものと見られるのである。
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