開業屋 原田 諦の飲食ビジネス情報  ≪飲食店指導実績 300社533店舗以上 日本一の飲食店・開業屋≫

夫婦仲が良くない飲食店の結末!


婦仲が良くない飲食店の結末!(1)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。

青森県某市に、ラーメン店「ねぶた」があった。この店は、夫婦共働きで店を運営しているが、売上の低下による借金返済に困って相談に来た。夫婦で事務所へ来ると、
「先生!わしら二人で一生懸命働いてここまで来たんだが、ここ一年前頃から売上が下がって、銀行の借金が払えなくなってしまいました。何とか見てもらえんでしょうか」
とても元気そうな夫婦で、とても落ち込んでいる様子はない。こうした、経営者はやる気が高まっているので、経営改善もうまくいくケースである。そこで、私は、
「そうですか!最近売上が落ちている飲食店は結構多いんですよ!」
「でも、先生!うちの場合は、この人が思いつきで何でもやるから、こうなってしまうんですよ!」奥さんがこう言い出した。
「旦那さんが思いつきでやられたこととは?」
「ハイ、テレビなどで見たといって、スープの獲り方を変えてみたり、麺の業者を変えるなど、それは先生!めまぐるしいほどですよ」

「本当ですか!旦那さん!どうしてそういう風に変えてしまうんですか」
「いや、女房の言っている事は、極端ですわ!売上が落ちてきてから、広告を打っても割引をしても一向に楽にならないもんですから、テレビでやっていることを試してみようと・・・」
「そうじゃないでしょう、アンタ!この間は、キジのガラを沢山取り寄せて、支払に困っているんじゃないの。」
こうした言い争いが私を前に続けられていた。
「分りました。お二人のやる気はいいですが、店の活性をするためには、方針を一つに決めてスタートしませんと、費用の無駄遣いばかりか、到達点が見えないので時間が掛かりますよ」
「そうですね、実は私たちは、勉強するために飲食勉強会へ東京まで毎月通っているんですが、具体的なアドバイスがないものですから、ここは原田先生にお願いしようと、女房と話し合ってお邪魔したんです」旦那がこういった。道理で普通のラーメン店の経営者とは意識が違っていたのである。
「そうですか、それで現在の帳簿は持参していますか?」
「ハイ、恥ずかしいですが、これが現状の店の売上です」


帳簿を見ると、なるほど、売上が低下しているものの、経営が赤字には至っていない。しかし、店を建築した銀行の返済金を差し引くとキャッシュフローは不足するのであった。
これによって、さらに所得税の分も資金ショートしていることから、借入金が小刻みに増えているのであった。
「分りました、お引き受けしましょう。しかし、売上アップも重要ですが、この分ですと、資金ショートを防ぐのが先決ですね。」
「来月、店までお伺いしますので、全ての借入金の調査と支払期日などをメモをして置いてください」
「有難うございます。帰ったらすぐにやります。」
こうして、この夫婦は青森まで帰ったのである。しかし、私は、この夫婦仲がしっくりいっていないことへ多少の不安を感じるのであった。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(2)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
売上低下の改善を依頼しに来た夫婦は、私の目前で言い争いを始めた。しかし、その言い分は、どちらとも言いがたいことから、現場に行って、確かめる事になったのである。

夫婦が相談に来た翌月、私は、ラーメンねぶたを訪ねた。繁華街から少し離れた立地であるが、店は三階建てで、ベンガラ色一色の派手ならーめん店であった。
店内に入ると、従業員らしき女性が出て来た。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「私は、東京から来ました原田と申しますが、ご主人か奥様はおいででしょうか」
「あ、ハイ原田先生ですね!旦那様から伺っております。お二階のほうへどうぞ!」
私は、厨房の奥の階段から二階の事務所へ案内された。そこには、先日事務所へ見えた夫婦が待っていた。
「先生!遠路大変ご苦労様です」


「いや、青森はやはり遠いですね。新幹線だから余計ですかね」
「ここは特に、遠く感じるんですよ。仙台まで位ならさほど遠く感じないんでしょうがね」
こうした会話のうちに、奥さんがお茶を入れに奥へ行った。すると、
「先生!実は女房と今まで話したんですが、会社の増資をして借金を減らそうと思うのですが・・・」
「会社の借入金は減少しますが、なぜですか?」
「はい、借入金を減少させることによって、銀行が融資をすると言ってくれたものですから」
「なぜ、融資を受ける必要があるんですか」
「はい、二年連続で赤字経営ですから、ここで、思い切り先生のお力を借りて、イベントで盛り返そうとおもうのですが・・・」
「そうですか、でも、イベントに頼っていても売り上げが上がるとは思いませんが!」
「ではどうしたら良いでしょうか」
そこへ奥さんがお茶を運んできた。
「先生!実は、この店を建てるときに私の父が保証人になっているものですから、赤字経営が続いている事へ不満を言ってきているんですよ」

「それはそうでしょう!この店を建てるには相当の資金がいったんでしょう」
「はい、四千万円です。しかし、未だ5年しか返していないものですから、まだまだ残っているんですよ」その奥さんが顔をしかめてこういった。
「そうですか、それは、経営分析をしてから結論を出しても遅くないでしょう」
「そうですか、分りました。何をすればよいでしょうか」
「三か月分の日商、客数、客数、それと、オーダーエントリーシステムを使用していますね!」
「ハイ、主人がこんな高いものを買ってしまうものですから、このリース料だけでも馬鹿にならないんですよ」
「そんな事言ったって、お前、これがあったら便利だね〜って言ったのはお前だろ〜」
又二人のいい争いが始まった。
「だって、アンタが勉強会の先生に進められて買ってしまっただけじゃないの」
「まあ、夫婦喧嘩はそのくらいにして置いてください!とりあえず、オーダーエントリーシステムがあるのであれば、商品別売上と、時間帯別売上が見れますよね!」

「ええ、見る事はできます」
「それでは、この全てを今から三人で手分けして書き出しましょう」
「今からですか?」
「そうですよ、三人でやればそんなに大変なことではないでしょう」
こうして、私を含めた三人は、それぞれの役割で伝票整理を始めたのである。
それから、三時間後、全ての資料が出来上がった。そして、そのデーターを分析したところ、ある一時的に売上が低下した時期があったのである。
「社長、!このときに何かやりませんでしたか。例えば大きな割引サービスとか、大きなイベントとか!それともメニュー改定とか」
「ハイ、この月に、メニューを変更したのをキッカケに開店三周年イベントをしました。」
「そのときに、問題が起こりましたね!」
「ハイ、新しいメニューになったばかりでしたので、従業員がなれないせいもあり、お客様へ待たせてしまい、怒られました。」
「そればかりではないでしょう。」
私は、何があったかおよその見当が付いたのである。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(3)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪い飲食店のコンサルティング依頼を受けた私は、いよいよ、店まで乗り込んで、本格的にこの店の経営改善に取り組むことにした。しかし、ここでも夫婦の言い争いが始まる。
そして、売上低下の原因が見えてきたのであった。

「社長!この売上が下がった時期に、メニュー改定とイベントをしたのですね」
「ええ、それまでにも売上が低下気味でしたので、一気に伸ばそうと考えまして、開店三周年記念のイベントとして、ディズニーランド後招待抽選会をしました。」
「ほう、それでどのくらい売り上げアップが図れたんですか?」
「ええ、お蔭様で売上はその月に30%もアップすることが出来ました。それで喜んでいたのですが・・・」
「それから一ヵ月後にこの数字になってしまったのですね!」
「ええ、そうです」

「先生!その時の家の人ったら、天下でも取ったように、威張りちらして、回りの従業員も私も大変でしたよ」奥さんが、そこで彼の傲慢振りを暴露したのであった。
「そんなこと、先生の前で言わなくてもいいじゃないか!」また二人のいい争いである。
「まあまあ!あんた達は、お互いにけなしあわなければ居られないんですか。変な夫婦ですね」
「別にそんなわけじゃないんですが・・・何しろいちいちこの女ときたらうるさいもんでつい!」社長が頭をかき掻き言い訳をした。
「別に言いですけど・・ここは、チョット真剣に考えてください!このイベントのときに、料理の提供が遅れて、お客様からブーイングがあったんですね!」
「ええ、毎日のようにありましたが、其の都度、家内がお客様へサービス券を差し上げまして誤りました。」
「ほう、それで其のサービス券はどのくらい戻りがありましたか。」
「いえ、ほとんどありませんでした」
「そうでしょう、其の筈ですよ!」


「えっ、どうして分るんですか!」
「其のときのラーメンは美味しくなかったのですよ。忙しさに任せて、スープや麺の茹で時間がお客様に煽られていい加減になったでしょう」
「ハイ、其の通りです。スープが足らなくなり、追加スープが間に合わなくて、完全ではなかったのですが、お客が次々に入るものですから、其のスープを使ってしまいました。」
「麺の茹で時間も変えたでしょう」
「実は、大変忙しくててんてこ舞いになりましたので、麺茹ではアルバイトにさせたのです。しかし、タイマーは使いましたよ」
「そうじゃないんですよ!麺の水切りが出来て居ないところへスープが薄かったことから、全く食べられなかったのですよ!幾らサービス券を配ったところで、そんな不味いラーメンを食べに来るはずはないでしょう」
「なるほどね〜、確かに先生の言うとおり、イベントが一週間あったのですが、それから二週間もすると、目に見えてお客が減りだしたんですよ」

「当たり前じゃないですか!この店の立地から見て、通りすがりのお客じゃないでしょう。ほとんどが近隣のお客でしょう・・」
「ええそうです!」
「この信用回復が最優先ですね」
「どうしたらいいですかね〜」この夫婦は、顔を見合わせて私の顔を覗きこんだ。
「仕方がないから、お詫びの広告を出したらどうですか?」
「えっ、そんなことしたら、余計に信用を無くすんじゃないでしょうか」
「そんな事はありませんよ!本当のことをお客様に謝ってどうして信用がなくなるんです?」
「文名は、お客様へお詫び申し上げます。先だって、開店三周年記念のイベント期間中、多忙に任せて、お料理のレベルにバラツキがありましたことをお詫び申し上げます。あるお客様からご意見を頂戴しまして、チェックしましたところ、確かに、ねぶたラーメンの味とはかけ離れたものでありました。つきましては、お詫びの印といたしまして、ラーメンを半額でご提供させて頂きます。残りの半額は、サービス券にてお返しいたしますので、どうぞお許しくださいますようお願い申し上げます。」
こうして、お客へ謝罪することから、この活性がはじまったのである。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(4)
このストーリーは、私のコンサルティングン実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪い、青森のラーメン店の営業活性に入ったた私は、これまでの経過から、とてもこのままでは売り上げが上がる見込みがないと考え、お客様へ詫び状を出すことを提案したのであった。

広告を出す前に、商品の再チェックをして万全の体制でスタートをすることにした。この日は、私も店に出て、手伝うことにした。
「社長、今日はスピードでラーメンを出してくださいよ!しかし、絶対に手抜きをしない事。これを従業員の全員に告げて置いてください」
「ハイ、かしこまりました。朝礼で皆に話してあります」
「奥さんは、レジに立って、客席全体を見ながら、お客様の表情を観察していてください。もし、変な仕草や態度であれば、すぐに、お客のところへよって行って、声をかけてください」
「ハイ、わかりました。」

開店11時から、お客が行列を作った。当然お客にとって半額の上に、半額サービス券をもらえるのだから、トータルでは無料と言う事になるのだから、当たり前である。このサービス時間を昼3時間、夜3時間に限定して三日間実施したのである。其の効果はとても好評であった。
「先生!いや〜見事にカバーできましたね!売上が上がるばかりでなく、お客様に喜んでいただけたので、これからもこの調子で頑張ります。」
「しかし、これで済んだわけじゃないでしょう。あとは、資金繰りが残っているkじゃないですか。其の方が大変ですよ」
「そうでした。浮かれてばかりは居られませんね」
「そうですよ。それと、このメニューをもっと磨いていかないと、また、売上が落ち込む恐れもありますよ」
「ハイ、そちらの方はもう大丈夫です。先生の言うとおりにこれからは手抜きをしないでいきますので、」

こうして、とりあえずは、売上アップの段取りは完成した。しかし、これが継続するかどうかは未だ分らない。
「とりあえず、借入金の全てを出してください」
「ハイ、銀行は二行だけなんですが、国民金融公庫殻も借りています。」
みると、銀行からは四口の借り入れがあり、国民金融公庫から運転資金を借り入れていた。
「この間、社長が言っていた融資の話があるのはどの銀行ですか?」
「ハイ、この銀行です。」
「それでは、融資を受ける際に、これまでの借入金とあわせ融資にしてもらうよう話してください!借り換えです。」
「えっ、そんな事できるんですか」
「これまでの借入金を全部返済して、それへ今回の借入金を加えて新たに融資を受けるのです。其の方が、銀行の方もやりやすいでしょう。こちらの方も、借り入れが一本化できるので返済金が減少します」

「ハイ、分りました。早速今日にでも行って、支店長と話してきます」
こういって、社長は笑顔を見せた。ここで奥さんが
「アンタ、先生に頼んで本当に良かったね」
「ああ、だから言っただろう。どうも勉強会で指導してくれる先生は、お前が気に入っているから色々聞いてみたが、机上論ばかりだから、今回のように店が混乱したんだよ」
「私のせいなの!アンタだって、あの先生に結構感化されていたじゃない!」
「又ですか!夫婦喧嘩はもういい加減にして、仕事を真面目にやってくださいよ」
「ハイ、分りました。先生!本当に有難うございました。」
こうして、とりあえず、資金繰りと売上アップの応急手当が済んだので、私は、東京へ帰ったのである。しかし、其の二ヵ月後、
「先生!うちの人が、なにやら色々なものを買い込んで、又何か始めたんですよ」
この奥さんからの電話であった。
「色々って何ですか?」何やら、この社長が、売上の心配がなくなったことから新たな何かを始めたらしい。

夫婦仲が良くない飲食店の結末!(5)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
青森の夫婦仲が良くないラーメン店の経営活性に成功した直後、今度は奥さんから、電話が入った。何か、社長がとんでもないことをやっているらしい・・・。

「どうしたのですか、」わたしは、 電話で聞こうとしたが、
「先生、とにかく来てくださいませんか!見ていただかないと、」
「分りました、では来週になりますが、スケジュールをあけますので伺います」
こうして、私は、急きょ青森へ出張することになってしまったのである。
店へ付くと、昼過ぎたばかりであるが、お客は何とか入っていた。厨房を覗くと、奥には、社長が鉢巻をして入っていた。
「先生!女房が何か連絡したらしくて、お忙しいのに申し訳ありませんね〜」


「申し訳ありませんね〜じゃありませんよ。いったいどうしたのですか」
「いや、どうもしませんが、女房はワシがやっていることが気に入らなくて先生に止めさせようとしているんですよ」
そこへ奥さんが二階から降りてきた。
「先生!ごめんなさい、お呼び立てしてしまいまして、」
「チョット、貴方達は一体どうしたのですか!」
「先生!聞いてください。実はこの人、先生が折角、資金繰りが楽になるように、銀行から借り換えを教えてくれて、毎月の返済金が少なくなった事をいいことに、新しい商品を売り脱すんだと言って、厨房の設備を入れ替えたり、丼を変えてみたり、秋田から比内鳥のガラを沢山買って、前よりも費用が膨らむばかりなんですよ」
「どうして、いきなりそんなに色々なものを買っているんですか?」
「いや、買っているわけじゃないんですよ〜。売上がいいときに、次の商品を開発しておかなければ又、暇になってしまったら困るから、準備しているのに、こいつが煩いだけなんですよ」

社長は、口を尖らせながら、女房の方を見て言った。
「しかし、資金繰りのことも考えながら進めなければ、これまでの苦労が水の泡になりますよ!今度は借り換えは効きませんよ」
「先生、実は、雑誌で読んだんですが、比内鳥の出汁は凄く美味しいっていうんじゃないですか!だから200キロ買いまして、今研究しているんですよ。今日は折角ですので味見をしていただけませんか」
社長の方はやる気満々で私のの話を聞く処ではなかったのである。
「それはいいですけど、資金繰りに支障が出るようなことは控えてください。」
「分りました。とにかく、女房の言う事は気にしないで下さい。」
「何を言っているのよ!アンタは何でも自分ひとりで決めてやって、駄目なときには、全部人に頼まなければ何も出来ないくせに。」
「又ですか!」私はウンザリした。

こうして、話が終わり調理場に行って見ると、そこには新しい寸胴、タイマー式で自動に茹で上がる茹で麺機、新しい丼、そのほかガスレンジやコールドテーブルなど、数百万円分の什器備品が購入されていたのである。
「こんなに色々購入したのですか?まだ商品も完成していないのに。」
「ええ、先生!どう思いますか、このスープの味は?」
私は其のスープの味を見たが、たしかにスープは美味ししものの、ラーメンを入れてこのまま使えるとは思えないレベルであった。
「社長、これで麺を入れて食べてみたのですか」
「ええ、食べてみましたが、さっぱりしすぎてまだまだ未完成なんです。どうしたらいいでしょうかね〜」
其の日、わたしはホテルを取ってもらい、宿泊することにした。色々話をする中で、資金繰りが更に苦しくなることが判明した。そこで、これを分析して、売上分岐点を出したところ、現在の130%の売上が必要だったのである。夫婦は考え込んでしまった。
そして次の朝、ホテルへ電話が入った。
「先生!大変です。うちの人が居ないんです」
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(6)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪い飲食店の経営指導に当たった私は、奥さんの呼び出しに青森まで出向いた。しかし、そこには、新しい什器備品で厨房が埋め尽くされ、資金繰りは更に悪化していた。そして、次の朝、そこの主人が行方不明になってしまったのである。

「奥さん!居ないってどう言うことですか!」私は、彼女の言っている意味が分らず聞いた。すると、
「先生!何か書置きしてあるんですよ!」
「えっ、どう言うことですか。すぐにそちらへ行きますので待っていてください」私は、大急ぎで着替えるとタクシーで「ラーメンねぶた」へ到着した。
「奥さん!どうしたのですか、又喧嘩したんでしょう」
「いいえ、昨日は喧嘩もしなかったんですよ!ただ、あの人が、黙って考え込んでいましたがね〜」

「それで、何も言わないでこの書置きをして出て行ってしまったんですか?」
其の書置きには、
”俺は、外へ出て働くことにする。お前のおやじさんに迷惑をかけられないから、働いて毎月金を返すからと言っておいてくれ!”
と、書いてあるだけであった。
「でも、こんな事これまでにもあったんですか?」
「ええ、二回ほどあるんですが、お金の事ではなかったので・・・」
この奥さんは、気丈で動揺している様子も見られなかった。
「今日からどうします。店を開けられないでしょう」
「先生!何とか私たちだけでできるように、考えてもらえませんか。息子を呼び戻して一緒に店をやり直しますから・・。お願いします。」
深々と頭を下げられては、私も逃げ出すわけにも行かなくなった。
「分りましたよ!では、今日から三日間私が調理場へ入りますので、其の間にアルバイトやパートさんでできるようにやり直しましょう」

気丈な奥さんの目に大きな涙が溢れていた。やはり、不安を隠しきれなかったに違いない。
「有難うございます。先生が居なかったら、どうしたらよいか分りませんでした・・・」
「いいや、偶然そうなったんですよ!それよりも、旦那が行きそうなところ全てへ、電話かファクスで、原田が三日間だけ店に居る事を知らせてください!」
「分りました。」
こうして、私は、ラーメンねぶたの調理場へ入ることになってしまった。さらに、もし、彼が帰らない場合にも、店の運営ができるよう、メニューやマニュアルを作成しなければならない。こうして、一日目が過ぎて、二日目の夜だった。閉店した店の裏口に誰かが立っている。私はビックリして、
「誰だ!」大きな声で怒鳴った。知らない土地なので、恐怖が余計に膨らんでいた。
「先生!申し訳ありません」蚊が鳴くような声で頭を下げているのは、ここの主人であった。
「な〜んだ、社長か!ビックリさせないでよ。中へ入って話を聞かせてもらうよ」
「ハイ、すみません!」

こうして、主人が戻ってきたことから、奥さんも加わり、家出話を聞くことにした。
「私は、現在の売上で精一杯ですので、コレ以上の売上を上げなければ今年の資金が900万円も足らないんですよね!それでどこかで稼いでこなければ、経営は続けられないと思いまして・・・」
「アンタはいつもそんなことばかり言って逃げるんじゃないの!じゃ〜其のあとは私にどうにかしろと言う訳なの!」
「そんなわけじゃないけど、でもどうしようもないじゃないか・・・」
なんとも、聞いていてもおかしな話である。一年後の資金ショートを悲観して家出をしたと言う。
「社長!そのためにこれまで、銀行の借り換えや売上アップに取り組んできたんじゃありませんか!そこで、あなたが家出して何が解決できるんですか!」呆れて物が言えなくなっていた。
「本当に申し訳ありません!これからやり直します。」
また、振り出しに戻った「ラーメンねぶた」である。今後は・・・。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(7)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪いラーメン店のコンサルを引き受けた私は、社長の家出に遭遇してしまい、泊り込みでメニューの改定やマニュアル作りに励んでいたが、次の晩、彼は店へ帰ってきた。其の経緯は、資金繰りの困難に悲観した末の事だった。

社長と奥さんを前に、私は怒りをぶちまけた。
「社長も奥さんも、この店の経営を本当に真剣に考えているのですか!経営者ならば、経営努力はもちろん、資金繰りや従業員教育は当然のことでしょう。あなた達は、経営者としての信念や責任と言うものを感じていないのではないですか?」
「一生懸命やっているつもりなんですが・・・」
「一生懸命やるのは当たり前ですよ!誰の店ですか。誰のために一生懸命なのですか?」
「申し訳ありません!つい、自分達が甘えてしまって・・・」

「私に対してのことではないですよ!息子さんに会社を退職させてしまったでしょう。あんたが、家出などするから、奥さんが息子さんへ電話をかけて、」
「エッ、本当ですか?」
「アンタが家出して誰がこの店を続けられるの?息子に相談して会社をやめる様言ったわよ!明日から店に入りますからね」
「おまえ、そんな!どうしてそんなことするんだ!息子の人生まで犠牲にするのか!」
「何言ってんの!じゃーアンタが家出したら、店を閉めればよかったの?これまでにも家出はあったけど、書置きまでして出て行ったんだから、私だって覚悟をしたわよ!でも、借金が残ったら、お父さんに迷惑が掛かるから、続けるしかないじゃないの!ジャ〜私が出て行くからアンタが一人で店をやれば!」
またまた夫婦喧嘩である。
「お二人さん!貴方達はどうしてこの店を出したんですか?この店を出したときの二人の目的はなんだったんですか?」

「目的と言いますと・・・。」社長が女房の方を見ながら言った。
「どんな人生を夢見てこの”ラーメンねぶた”を開店したのですか」
「そりゃ〜、私はこの店を何店舗もだして、将来、フランチャイズチェーンを展開しようと思いました。ですから、東京の勉強会にも毎月出ていって・・・」
「先生!私はこの店の借金が早く終ったら、店から抜けて普通の主婦の生活をしたいと考えておりなした。」
「二人の目的が違うのですから、仲良く経営なんてできるはずがないですよね〜」
「そう言われれば、いつも二人で喧嘩ばかりなんですが、お互いにこうしよう!って意見が合った事がないですわ〜」社長が言った。
「でも、こうして開店させて、何年も続けているんでしょう!どこかで二人の意見が合うことはないんですか。こんなことでどうしてフランチャイズチェーンの展開ができる会社になるんですか。社員すら付いていきませんよ」
「本当ですね!先生見たいにはっきり言われたことがないから、気づかなかったけど、あるとき、従業員に言われた事があります」

「どう言うことですか」
「社長さん!今日は奥様のご機嫌が悪いんですか!って」
「従業員さんも大変ですね!貴方達の顔色を伺いながら仕事をしなくちゃならないんですから!」
「先生!どうしたらいいんでしょう・・」奥さんがしょげた顔つきで言った。
「それでは、これまでの事は忘れて、これから、どうなれば幸せなんですか?」
「ハイ、借金を一日も早く返済して無借金経営になることです」
社長の意見に奥さんも頷いていた。
「そうですか!やっと気が合ったようですね。それでは、借金返済をこれからの目標に頑張ってください!息子さんも店に入ることになったわけですから、今後、従業員の前などで夫婦喧嘩などは決してしないように!」
「ハイ、分りました。本当に申し訳ありません!」
これで一件落着!息子が帰ってきて、親子三人で店を運営できれば、もっと元気になるだろう。私は其の日の内に東京へ戻ったのであった。しかし、又しても、奥さんからの電話である。

夫婦仲が良くない飲食店の結末!(8)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪いラーメン店のコンサルティングを引き受けた私は、何回となく夫婦喧嘩の仲裁をしていたが、とうとう、取り返しが付かない事態が起こってしまったのである。

其の日は、広島へ出張している日であった。そこへ、ラーメンねぶたの奥さんから電話が掛かってきたのである。
「先生!大変です。うちの人が警察に連れていかれまして・・・」あっけらかんと話している。
「どうしたんですか!」
「息子と喧嘩をして、何でも金鎚を振り上げたところを、近所の人に見られて、通報されたんですって・・・」

「金鎚ですか?どうしてそんなことしたんでしょう」
「私が、お世話になっている人のところへ出掛けていたんですが、それを息子に色々聞いたもんですから、何でもそんな事しらね〜よ!って言ったらしいんです」
「それだけで、金鎚を振り上げたんですか」
「息子も一緒に連れて行かれていますので、はっきりは分りませんが・・・」
「先生、私は覚悟を決めました。もう、あの人とは一緒に住めません。別れて息子と一緒にこの店の借金を返していこうと考えました。」
「それは、後のことにして、旦那さんと息子を引き取りに行かなくていいんですか?」
「少し頭を冷やした方がいいんですよ!」彼女は、やけ気味な言い方で言った。
其の夜、ホテルの電話が鳴った。深夜2:30であった。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(9)
ホテルの深夜に電話が掛かる事はめったにない私は、家族にでも何かあったのかと心配した。しかし、それは警察からであった。
「ハイ、原田ですが、」
「こちらは青森県警のものですが、原田 諦さんでしょうか」
「ええ、そうですが、こんな時間になんでしょう」
「申し訳ありません、実は原田さんは、ラーメンねぶたの経営者で大田と言う人物をご存知でしょうか」
わたしは、奥さんから電話を貰っていたあの件だな、と察知した。
「ええ、私のクライアントですが、それがどうかしましたか」とぼけて聞いた。
「はあー、実は、家庭内問題で連行したのですが、どうしても否定していて、一番信じている原田さんに連絡してくれと言って聞かないものですから・・・」

「えっ、私は弁護士ではないですよ!経営コンサルタントですから、警察問題やそうしたトラブルを解決する事はできませんが・・・」
「電話を変わりますので、話を聞いてやってください」警察の方もやや呆れている様子であった。そして電話を変わった。
「もしもし、先生!申し訳ありません。じつは、私は何もしていないんですよ、息子が俺を馬鹿にしたような言葉を使ったから、大声を出しただけで・・・」
「社長!アンタ、何を考えているの!私に電話をしたって何も解決出来ないんじゃないの!」
「いや、先生だけには分ってもらおうとこんな夜分に申し訳ありません」
「それより、警察でなんでこんなに遅くまで取り調べられているの・・・」
「私が、金鎚で追いかけて息子を殴ろうとした、と言うことになっているんです」
「そんなことすれば、当然でしょう。幾ら親だからと言って、やってよい事と悪いことがありますよ」
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(10)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
夫婦仲が悪いラーメン店のコンサルを引き受けた私は、とうとうとんでもないトラブルに巻き込まれてしまったのであった。

「先生、ご迷惑をかけてしまいまして申し訳ありません」
「どうしてこんなことになったのですか」
「実は、警察の人が聞いてくれませんので、つい、先生の名前を出してしまいました。」
「私が何をすればいいんですか・・・」
彼は、興奮するばかりで、色々愚痴を言うばかりであった。
「それでは、警察と電話を代わってください。私が話しましょう」
「分りました」
私は、警察に彼の陳情をして、電話をきった。

電話が終ったのは午前四時であった。
こうして、其の日を境に暫くの間連絡がなかったが、ある日携帯に連絡が入った。
「先生!お久しぶりです。」奥さんの電話である。
「どうも、お久しぶりです。その後どうですか?」
「ハイ、実は連絡しようと思っていたのですが、いろいろありまして、すみませんでした。あれから、主人は家を出まして三週間になります。今は、息子と二人で頑張ってやって居ます」
「ああ、そうですか!それは大変ですね〜。しかし、コレ以上問題が起こると、店のほうへも影響が大きいですよね〜」
「ええ、わたしは、もう諦めました。」
「貴方たちが決断したことですから、仕方ないでしょう」
「そこで、先生!先日お願いしておいた件は引き受けていただけるんでしょうか」

私は、何のことか忘れていた。
「あの人が居なくなってもコンサルタントをしていただく件ですよ!」
「ああ、其の件ですか!でも、経費が掛かりますので、電話でご相談してください。そうすれば、お金が掛かりませんので、其の分、借金返済に充ててください。どうしようもないときには、スポットでお引き受けしますよ」
資金繰りが苦しいこの店からコンサル費用を頂くことに気が引けて、私は断ることではなく、無料相談で解決するコトにしたのであった。
夫婦仲が良くない飲食店の結末!(最終回)
其の年が明けて、正月に一枚の変わった年賀状が来た。はがき一面にびっしり文字の入った年賀状であった。内容はこうであった。
「先生!あけましておめでとうございます。わたしは、今、北海道の小さな民宿で働いております。ラーメン店経営時には何かとお世話様になり、、先生に黙って家を出た事をお許しください!私は、一からやり直します。かれこれ、半年になりますが、やっとこちらの生活にも慣れました。逃亡するような状態で家を出ましたが、どうしても、先生にだけは知らせておこうと、ペンをとりました。本当にごめんなさい!一生懸命働いてもう一度ラーメン店を開店させるつもりです。其のときには、やはり先生にお会いしたいです。有難うございました。お体には十分お気をつけて、ご活躍くださいませ!」
と、言う内容であった。
それから、毎年のごとく、盆暮れの贈り物を届けてくれている。この経営者は、どういったらよいのか分らないが、真面目で、人の心をつかめなかった独りよがりなところが、こうした不幸な人生に入ってしまったものと考える。彼を今でも思い出すが、私の勉強会でも誰よりも真面目に聞いていたことを・・・
                おわり
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