開業屋 原田 諦の飲食ビジネス情報  ≪飲食店指導実績 300社533店舗以上 日本一の飲食店・開業屋≫

兄弟で対立する飲食会社!


兄弟で対立する飲食会社!
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。社名、人名は架空です。
事務所に一本の電話が掛かってきた。以前に私のセミナーに参加したという飲食会社の社長からであった。

早速、会社資料を送って貰い、その会社がある和歌山まで訪問した。そこには、社長の前田さんが出迎えに来ていた。
「先生!遠いところを有難うございます」
「いえ、とんでも有りません。それよりも社長自ら恐れ入ります。」
「早速ですが、事務所でお話を伺いましょうか」
私は、社長を急がせた。すると、
「先生!大変申し訳がないのですが、今日は、私どもの経営するコーヒー店で従業員をまたしてあるのですが・・・」


「そうですか!それでは急ぎましょう」
「ハイ、かしこまりました。」
社長運転の車でそのコーヒー店へ向かった。10分もするとカナディアンハウスのコーヒー店に到着したが、そこには、二人の従業員らしき男が駐車場入り口で待っている。
「先生!お疲れ様です。お待ちいたしておりました。」
なんとも丁寧な言葉使いで教育が徹底されている様子である。
「ご苦労様です。」私は、彼らを労って、店に入った。
すると、なんと、裏二階に案内されたのである。そこには、すでに会議テーブルが用意されてあり、入れたばかりのコーヒーも準備されていた。
どうして、こんな狭いところで会議をするのか、何となく不気味な感じがしたのである。
兄弟で対立する飲食会社!(2)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名、人名は架空です。
これ案でのあらすじ、
和歌山県の中堅飲食会社からコンサルティング依頼を受けた私は、早速、和歌山まで出向いたが、案内されたのは、何と、喫茶店の裏二階であった。何も、こんなところで・・・。

セッティングされていたテーブルへ全員が座り、自己紹介があった。一人はこのコーヒー店の店長で山田君、もう一人の男は、社長の弟で会社の専務をしている前田さんである。
「私は、フードコンサルタントの原田です。よろしく!」
とりあえず、一般的な挨拶で終った。そこで、
「先生!本当に有難うございました。大変失礼ですが、これまでにもコンサルタントの先生にご指導願っていたのです。しかし、どうも、我々の力になってもらえず、諦めておりました」
「そうですか、でも、私もどれだけ力になれるか分りませんよ!」
「でも、噂では先生は相当厳しいが、必ず請け負った仕事はやり遂げるということですので、信頼しております」

専務が歯がゆいようなお世辞を私に向かっていった。
「いいや、お世辞はいいですよ!仕事には、出来る事、出来ない事、やらなければならないこと、やってはいけない事、などそれぞれですからね!」
全員が真剣な眼差しで、私の話を聞いていた。
「そして、今回の私への依頼は、売上回復でしたよね!」
すると、社長が、
「先生!じつは、それもそうなんですが、もっと大変な事をお願いしたいんですよ」
「えっ、タイヘンな事と申しますと、」今度は、専務が話しを取って言った。
「先生!私たちは兄弟なのですが、もう一人兄弟がおりまして、彼も専務をやっているんです。ところが、彼は頑固なところがありますので、会社での取り決めよりも自分が決めた事を社員にさせるので、会社の中が分裂してしまっているんです」
「それなら、社長が説得すればよろしいでしょう」
「しかし、行動力がありますので、常務を手なづけて権力を振るいながら全く言うことを聞かないんです」

「それでは、貴方達三人が蚊帳の外と、言うわけですか」
「いえ、そうでは有りません!各店の若い店長達は、この村木君を先頭にまとまっているのですが、その専務が彼らを敵対するものですから、退職したいという人間が絶えないんです」
「それは困りましたね!売上アップ戦略よりも難しい問題じゃないですか」
「実は、私たち3兄弟は、母親が皆違うので色々な問題がありまして・・・」
社長言った。なるほど、この二人も全くといえるほど似ていない顔つきである。
「それで、会社の中で私との話は困るわけですね!」
「申し訳ありません!何とかしなければならないのですが、我々だけでは、どうにもなりません。これまでの先生は、その弟に追い出されてしまったような形でしたので、先生にはこうした形で・・・」
「そうですか、でも、こんな事をしていても何も解決しませんよ!堂々と社長としての威厳を発揮しなければ、他の社員達も不安でしょう。これからは、私は事務所でお話を聞きますよ」
こうして、裏二階の会議を終ったが、何かとんでもないことがおきそうな予感がした。
兄弟で対決する飲食会社(3)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名、人名は架空です。
これまでのあらすじ、
和歌山の飲食会社から、コンサル依頼を受けた私は、早速出向いたが、彼らとのミーティングの中で、兄弟の仲たがいで会社が分裂しそうだという。彼らの話を聞いて、私はその張本人と会う決意をしたのである。

それから一ヵ月後、再び和歌山のその会社を訪れた。先月同様に、社長の前田さんが部下とともに駅まで迎えにきていた。
「大変ご苦労様です!」
「今日は、事務所へ行きましょう」
私は、社長の弟でもう一人の専務に会うことにしていたのである。
「ハイ、かしこまりました。失礼な事があるかもしれませんが、どうぞ許してやってください」
社長は、なぜかその専務に気遣っている様子である。


「社長!そんな気遣いをしなくても良いですよ!社長として堂々としていてください」
「はい・・・」なんとも心細い感じがする。
それから三人は事務所へ向かったのである。事務所には、問題の専務をはじめ、常務、経理課長、スーパーバイザーが待ち受けていた。
「お疲れ様です!」先月会った弟の専務が私たちを出迎えた。そこへ、
「原田先生ですか!どうも始めまして、専務の渡辺です」
この専務は、兄弟の中でも姓が違うらしい。
「ああ、始めまして、原田です」
それから、幹部会議が始まった。まず、前田社長が全員に私を紹介してスターとした。
「皆さん!ご苦労様です。ここに原田先生をお招きして、我が社の経営不振を打破していきたいと思いますので、皆さんのご協力をお願いします」
「皆、社長に協力しているじゃないですか」渡辺専務がいきなり、食って掛かった。
「そうですが、これまで以上に協力してください」社長は専務に眼を合わせずに言った。


「今日は、内輪の話は止めてください!わたしも仕事に来ているのですから、問題解決へ向けて会議を進めてください」わたしは、強引にこの二人のやり取りを制した。
「分りました。しかし、現在、我が社は売上が落ちているのに、社長の決断が遅くて、いろいろな問題が出てくるんですよ、先生!」
彼は、会議を進めようとはせずに社長批判を始めたのである。
「では、今日ここで方針を決めましょう。幹部の方々が全員揃っているわけですから都合が良いでしょう」
全員が黙ってしまった。前田専務を始め、他の幹部連中は下を向いたまま、一言も発言しない。
「では、私のほうから始めさせていただきます。全体の売上が低下しているのですが、原因は何処にあると思いますか?」私は、彼らに説いてみた。すると、
「売上が落ちているといいますが、店が古くなりすぎているんでしょうがないんですよ」


常務がいきなり発言し始めたのである。彼は、資金管理をしているために他の幹部連中が彼に何も言えない状況にあったのである。
「ほう、店を改装すれば売り上げが上がる保障があるのですか」
私は、冷たく彼の発言をあしらった。
「私はそう思いますけど・・・」
「しかし、私が分析をさせてもらったところ、土日の売上は落ちていませんよね。これは、平日の営業に問題があるからですよ。メニューの内容は見ておりませんが、商品の魅力がなくなっているんじゃないんですか」
私は、、営業分析に基づいた自分の意見をここで主張したのである。
しかし、この話に渡辺専務と常務の二人は、顔を見合わせてニヤッとした。
未だ何かある!私は、この二人に不気味な感じを抱いたのである。
兄弟で対決する飲食会社(4)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名、人名は架空です。
これまでのあらすじ、
兄弟が対立している飲食会社のコンサルティングを引き受けた私は、いよいよ本部事務所に乗り込んで、結論を出すことになった。

「先生!私が担当している店を、どんぶりやへ業態を変更しようと思うのですが、それで社長に了解を貰おうとしているんですよ」
渡辺専務は、こういった。
「しかし、専務、他の店もあることから、専務の担当の店だけを優先する事は難しいよ」
前田社長は、常務の顔を覗きながらこういった。
「しかし、売上を上げれば、何処の店からはじまっても同じ事じゃないですか」
渡辺専務は、一歩もあとへ引こうとはしなかった。そこへ、常務が助け舟を出した。
「専務の言うとおりなんですよ。他の店は、売上をあげようとしても、人材の問題が多すぎて、上手くいく可能性が低いですからね」


わたしは、幹部連中にこの問題を問うことにした。
「それでは、前田専務はどのように思いますか!」
「いや、専務は自分の担当の店だけに力を入れていますが、会社の問題は一店舗の問題ばかりではないので、もう一度検討してから、決めて欲しいのですよ」
これまで一言も口を開かなかった前田専務が強気になって、意見を述べたのであった。
「そんな事ばかり言っているから一歩も前に進まんのじゃないのか専務!」
年配の常務が前田社長の顔を見ながら言った。すると、こんどは、スーパーバイザーの柿本君が意見を述べた。
「ここは、原田先生が指導してくれることになったのだから、先生の意見を聞いてから決めてはどうなんですか」
彼は、飄々とした言葉で渡辺専務と常務に向かって意見を述べたのである。
「じゃー原田先生が、この売上低下を上げることを指導してくれるのですかね」
渡辺専務がこういった。


すると、社長がいきなり立ち上がって、
「専務、初対面の先生に向かって失礼な話は止めてください。我が社のために遠方より来てくださっ居ているんですよ」
「そりゃ、先生も商売だからしかたないじゃないですか、ねー先生!」
私に向かって、彼は言い張った。
「そりゃー、仕事ですから私の事は気にしないで下さい」
「しかし、これでは、柿本君が言うように、誰かが先頭に立たなければ、解決できないんじゃないですか?こんな事を言い合っていても何も解決できないじゃないですか」
わたしは、全員の話をしようとして彼らの話を断ち切ることにした。
「社長、私がこの問題の方向性を決めますので、それから全員で検討していただけますか」
「有難うございます。渡辺専務も一生懸命になっているので自分の主張をしているのですから、先生の方針に従って進めることになりますよ。ネー専務」
こうして、この解決は私の手のひらにやっと乗ったのであった。
兄弟で対決する飲食会社(5)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
兄弟が仲たがいしている営業不振の飲食会社をコンサルティングすることになった私は、幹部全員を集めて、今後の方針を決めることにしたが、やはり兄弟の仲はギクシャクしていてまとまる状態ではなかった。

終止が付きそうもない状態にあった会議を一端あづかった私は、その日のうちに、あらすじの方針を決めてしまおうとしたのである。
「すみませんが、先月、皆様の会社のデーターを頂いておりましたので、今日は、この各店舗をクリニックさせていただけないでしょうか。現場を見てみないと、このデーターの意味が良く理解できませんので、誰かが案内してください」
「私が、同行しましょう。」こう言ったのは、渡辺専務であった。私を自分の味方につけようとしているのか、進んで申し入れてきたのである。すると、スーパーバイザーの柿本君が、

「いえ、専務、私が各店舗に用事がありますので、私がご案内した方がよろしいかと思います」
こう言って、専務を私から引き離そうとした。何か、彼も私に話しがある様子であった。
「そうですね!それでは、柿本君にお願いしようかな!そのほうが、各店舗の状況を説明していただけるので助かりますね」
わたしは、彼の気持を察して専務の同行を制した。
「分りました、店舗数が多いので、今日一日では回りきれないかもしれませんが、先生が気になる店舗だけを回っていただいたらどうでしょう」
社長がこういって気遣ってくれた。しかし、私としては、全店舗を診ておく必要がある。
「いえ、全ての店舗を見せていただきます。夜中になっても柿本君にはお付き合い願います」
「はい!大丈夫です」
「私が遅くなりましたら、ホテルへ直行しますので、明日、この続きをいたしましょう」
こうして、私は、スーパーバイザーの柿本君を連れて全店舗クリニックに入ったのであった。

車の移動で遠方の店からチェックすることにしたが、柿本君は、
「先生!実は私は、店舗に用事はないんです。すみません!」
「えっ、どうして嘘を!」
「こうでもしないと、先生とお話をする機会を与えてくれませんので」
「なるほど、それで私にどのようなお話があるんですか」
「先生!私は、この会社へ入社しまして8年になるのですが、この会社は、社長は常に色々な集まりやボランティア活動などで、会社にほとんど居ないのです。前田専務は、事務所には一週間に一度くらいの出勤で、ほとんどが現場に出ています。残された、渡辺専務と常務二人が事実上、会社を動かしているんですよ。」
「えっ、だから、社長に対してあのような態度で接するのですね!」
「そうなんです。社長も、前田専務も二人から逃げているものですから、余計に会社があの二人に自由にされているのです」
「そうですか!あなたと話し合えてよかったですよ。知らなかったら、渡辺専務と常務の問題を取り上げているところでした」わたしは、これまでの経緯の裏がやっと見えてきたのであった。
弟で対決する飲食会社(6)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
兄弟仲が悪い会社の会議を終えて、私は、スーパーバイザーと店舗クリニックにでた。車内で彼が私に打ち明けた事は、社内の業務に役員が本気で取り掛かっていないことであった。

「本当に、社長と前田専務は事務所に余り行かないの?」
「ええ、社長は色々と出張が多いですし、専務は現場から離れようとしないんです」
「だから、渡辺専務と常務は事務所を取り仕切っているんだね」
「ええ、そうです。私たちは、あの二人の言う事を聞かなければ、タイヘンなことになります。すぐに首ですよ」
「へえー、そんな権限も持っているんだ」
「だって、社長は、専務と常務には何もいえませんから、」

彼の口から、善悪の問題ではなくではなくて、経営者不在の会社であると言うことを知った。
「柿本君!従業員の元気がないけれど、どうして、あの専務が厳しいの?」
「いえ、違いますよ。実は、我が社は、社長の考えで、毎日、町のお掃除に早朝から出なければならないんですよ。」
「どうして、」
「社長がどこかで学んできた”掃除の会”とかで人間育成に効果があると言い出して、社員は否が応でもやらなければならないんです。ですから、皆疲れきっていて・・」
「それも変ですね!会社の実務を放り投げておいて、そんな事をさせるなんて、」
「でも、社長命令ですから仕方ありませんよ。多分、その会の社長さんが色々相談に乗ってくれるので、会社よりもその人たちと一緒の方が楽しいんじゃないのかなー」
「うーん、それにしても、このレベルの従業員さんでは売上を上げることなど難しいね」
「これまで、社員教育をしたことがないの?」
私は、積極的にこの会社の経営改善に取り組もうとしたが、とんでもない状況に、がっかりさせられたのである。
兄弟で対決する飲食会社(7)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、

兄弟仲が悪い会社の経営改善を依頼された私は、コンサルティング依頼を受けて、三回目の訪問になったが、売上低下の原因が会社の在り方に問題があることが判明した。私は、その問題が解決しない限り、売上アップは難しいものと考え、優先順位として、会社のごたごたの解決をすることにしたのである。

柿本スーパーバイザーとの会話の中で、様々な社内問題を知った私は、店舗クリニックの翌日、昨日のメンバーとの会議を要求した。これに全員が参加することになり、いよいよ、会社の問題解決に向けて、私の意見を述べることになった。
「早速ですが、昨日店舗クリニックを実施して感じたことを率直に申し上げます。まず、店舗の老朽化は確かに進んでおりますが、お客に迷惑が掛かるほどの問題ではありません。したがって、売上低下の問題は他にあるものと考えられます。」

「問題と言いますと!」社長が真剣な顔つきで私に質問をした。
「まず、この店舗へ社長は月に何回ほど顔を出しているのでしょうか?」
「店舗にはめったに顔を出しませんが、店長会議や掃除の会で毎日会っていますので、店の状況は聞いております。」
「そうですか、では、前田専務は同でしょう」
「私は、受け持ちの店舗がありまして、人手が足らないものですから、その店舗に入りっきりです。」
「それでは、渡辺専務はどうですか?」
「そうですね!店舗が多いので全て柿本君に任せて柿本君からほうこくをうけていますが。」
「では、店舗へ幹部の方々は余り顔を出さないで居るんですね」
「しかし、店舗を見るのはス^パーバイザーの仕事じゃないですか」常務が私に向かって、ムキになったように言った。
「しかし、現場の人間には解決できる問題と出来ない問題がありますよ!とくに、飲食店は、定期的に巡回して、経営者としての見方でアドバイスしなければ、従業員さんの考え方で全てが運営されてしまいますので、危険ですね」


「柿本君、それでは聞きますが、昨日各店舗を巡回して気がついたのですが、各店の社員達に元気がないのはどう言うことですか。」
「ハイ、私は、自分の意見と言うよりも、社長や専務の意見を従業員に述べるにとどまっておりますので、私の話は、すべて押し付けになっているからだと考えています」
「社員教育は、どなたが担当しているのですか」
「それは社長の仕事ですわ!」渡辺専務が意味ありげに答えた。
「どのような教育をしているのでしょう」私は、柿本君から聞いていたものの、社長の口から直接聞いた。
「ええ、ある会社の社長に誘われて、ボランティアで”掃除の会”に入って意識教育をしております。この会社は、社員達が活き活き働いていて、経営も素晴らしい会社に成長しているのです。ですから、我が社もこれを見習おうとして・・・」
ここで、渡辺専務を始め、全員が首を振ったのである。はて、この意味はなんだろう・・・

兄弟で対決する飲食会社(8)
このストリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじは、
兄弟仲が悪い飲食会社のコンサルティングを引き受けた私は、会社訪問すると、兄弟三人が異母兄弟であった。しかも、そこには、社長の我がまま、取締役の弟の身勝手などで社員がやる気をなくしている状況だった。
そこで、スーパーバイザーとともに、店舗クリニックをしたが、売上低下の原因は、経営陣にあると考え、ミーティングを行う。しかし、この幹部連中は、自分の都合で意見を述べているばかりで、経営を真剣に考えている幹部ではなかったのである。

「皆さんは、店の売上が低下しているのは、店舗が老朽化しているからだと言いましたね!」
「ワシャ、そう思うとるんじゃがのう・・」渡辺専務が小声でこう言った。
「ワシもそう思うとるんじゃ」常務が続いた。
「私は、従業員の教育がまだ足りなかったの思っています」社長がこう意見を述べた。
「僕は、よその飲食会社と比べると、全くと言えるほど、料理やメニューの研究をしていないことにあると思います」スーパーバイザーが言った。

「いや!会社が悪いんよ!皆がバラバラじゃない、従業員や皆が意見も出せない会社で繁盛店なんて生まれるはずはないと思います。」前田専務が顔を赤らめて言った。
何となく、会議らしくなってきた。
「それでは、私の意見を述べさせていただきます。皆さんの意見をお聞きしましたが、それぞれの意見が間違っているとは思いません!しかし、それも貴方達の事ばかりを考えていることです。」私は、声を更に上げて言った。
「飲食店は、お客様あっての商売ですよ!貴方達は誰一人お客様を考えた意見を述べた人がおりません!ここが売上低下を起こしているもっとも大きい原因です。」
「お客様ばかりでは有りません。従業員さんにしても、貴方達の愛情を感じている人は一人も居ないんじゃないんですか!これで、お客様へ喜ばれるサービスを!なんて、マニュアルがあってもどうにもならないでしょう」
「私も、この仕事を請けたくなくなりました。大変失礼ですが、私は、貴方達の仲裁に来たのではありません。店を繁盛させるために来たのです。」

「いいですか!世の中には、一生懸命朝から晩まで働いて、お客様にどうしたら来てもらえるのか、を真剣に考えていても利益が出ない事から閉店を余儀なくされている経営者も沢山居るんですよ。わたしは貴方達の経営ごっこに付き合っている暇はないんですよ!」
「先生!チョット待ってください」社長が慌てて立ち上がった。
「申し訳ありません、私が社長として考えが甘かったことが分りました。先生のおかげです。明日から私は、毎朝トイレ掃除を日課として始めます。お客様に綺麗なトイレで喜んでもらえれば、嬉しいです。どうぞ、これからも今日のように叱っていただいてご指導してください」
「社長!本当にいいんですか?皆さんはいかがですか!社長についていけるのですか」
「ワシはわしの考えがありますわ!」渡辺専務がこういった。
「専務!それでは、あなたには、私と同じ仕事をして貰いましょうか!」
「えっ、それはどう言うことでしょう・・・」
「営業不振店の一店舗を一人で活性させてください。一店舗ならば自信ありますよね」
「分りました。わしはそのほうがいいですわ」
彼は、こうして一人グループから離されていくのであった。これが私の戦略とも知らずに、勢いよく営業活性に入ったのである。
兄弟で対決する飲食会社(最終回)
このストーリーは、私のコンサルティング実例です。会社名人名は架空です。
これまでのあらすじ、
兄弟仲が悪い飲食会社の改革に取り組んだ私は、問題の専務を組織からはずすことに成功した。そして、店長全員の教育に徹したのである。

それから数週間後、店長達が会議室に集まっていた。今日は勉強会の日、しかし、どの店長の顔も輝いている。これまでの鬱憤を晴らすかのように、猛特訓して店の活性に取り組んでいるのであった。
一方、渡辺専務は、与えられた店舗の業態変更をしたらしく、これまでのラーメン店改装して丼やへ変更していた。しかし、その業績はより悪くなっていたために、私には会いに来ようとはしなかった。
改装費をかけたために固定費が膨らみ、丼屋の原価が高いために売上分岐点は更に高くなり、これまで以上の赤字を出していた。しかし、彼は、そんな事は気にもせず、更に広告を出し続け、安売りでお客を集めようとしていたのである。

残りの店舗は、店長教育が順調に進み、店内のレベルが上がっていた。今まで隠れた存在であった前田専務が、店長達を取りまとめ、相談役になっていた。
そこで、私は、その中の一店を改装して新規開店を勧めたのである。その店は、家賃が高くてどうしても、今の売上では経営存続が難しく、撤退を余儀なくされていたからであった。
この話に、店長達は喜んだ。
「先生!本当に新しい店にするんですか」
「いや、分からんよ、社長がどう言うか!」
「社長には私が言いますよ」専務が言い出した。
「この赤字が打ち消せるようなコンセプトがないと難しいね」
このような話を店長の勉強会でしていたのである。社長は相変わらず”掃除の会”の勉強会へ言っているらしい。しかも、現在では、その会の支部長になっているとか!
「アンタが社長に言っても無理かもしれないから、私から言うことにしよう」
こうして、その後、社長との話し合いでこの店の改装が決定したのである。

営業コンセプトは、私がひくことにした。一ヶ月間をかけて営業コンセプトが完成した。
兄弟仲が悪いこの会社へ仲良く幸せになれる店舗を祈願して「龍の家族」と店名を変えさせた。ラーメン店が、ファミリー中華店へ変身した。
店内は明るく、メニューはこれまでとは全く違う中華料理と、これまでのラーメンをご馳走麺へ変えた。
一方、孤独になった渡辺専務は、赤字が膨らむばかりで、とうとうその店を閉店することになった。そして、退職する事になったのである。私の狙いはここにあったが、この仕掛けを誰にも見破られることはなかった。
「龍の家族」は、行列ができる店となった。これまでの赤字店が嘘のように繁盛店へ変貌したのである。
従業員達のサービスも徐々にレベルが上がってきたために、全店の売上が上がってきた。
「先生!何とお礼をしたら良いか分りません!これからもよろしくご指導ください」
社長は、渡辺専務の退職によって、目の上のたんこぶが無くなり、ホッとしている様子であった。

こうして、数ヶ月に及ぶ格闘の末に、会社の根底に潜んでいた問題を解決し、繁盛店を完成させることに成功したのである。この会社は、18年間もの間私の顧問先として、指導をさせていただいてきた。
しかし、私が顧問をやめると、今度は、前田専務と社長の仲たがいが起きているという噂が聞こえた。この会社に勤めている店長達は、今でも私の勉強会へ出席しているのである。
                                   終わり
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