外食M&Aが過去最多ペース
M&A Onlineによると、2026年の外食・フードサービス分野のM&Aは8月14日時点で33件となり、年間最多だった2025年の34件に早くも迫っている。100億円を超える大型買収も3件発生し、有名ブランドを対象にした業界再編が活発化している。
8月7日にはSRSホールディングスが、FOOD & LIFE COMPANIES傘下の京樽の全株式を取得し、子会社化する契約を締結したと発表した。「京樽」や「回転寿司みさき」など、既存の店舗網とブランドを一括して取得する案件である。
新規出店よりM&Aが合理的な場合
飲食店をゼロから開業するには物件探索、内装工事、設備購入、採用、教育、広告など多額の資金と時間が必要になる。一方、既存企業を取得すれば、店舗、人材、取引先、顧客、ブランドをまとめて取得できる可能性がある。
特に賃料と工事費が高騰している現在では、既存店舗の設備や営業権に価値が生まれやすい。閉店予定店舗でも、立地、厨房、従業員、予約顧客などを次の経営者が引き継げれば、単純な閉店より経済合理性が高くなる場合がある。
小規模飲食店にも事業承継という選択肢
2026年8月には飲食店に特化したM&A支援サービスの提供開始も発表された。小規模店でも「閉店して原状回復する」以外に、事業や造作を譲渡する選択肢が広がっている。
- 売り手:原状回復費を抑えながら事業価値を現金化できる可能性
- 買い手:開業期間を短縮し既存顧客を引き継げる可能性
- 従業員:雇用を維持できる可能性
- 家主:空室期間を減らせる可能性
買収価格より重要なデューデリジェンス
ただし飲食M&Aでは売上だけを見て判断してはいけない。賃貸借契約の承継可否、厨房設備の所有権、リース残債、従業員契約、未払残業、衛生事故、口コミ評価、店舗別損益などの確認が不可欠である。
フランチャイズの場合には、本部契約が新オーナーへそのまま承継できるとは限らない。M&Aの活発化は出店機会を増やす一方、契約確認の重要性も高める。2026年の外食業では、新しい店を一から作る成長戦略と、既存店舗やブランドを買う成長戦略を比較する時代に入っている。
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