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歴史的建築を飲食店舗へ再生、スターバックス横浜海の公園店が示す「場所そのものを商品にする」出店戦略

登録有形文化財の洋館に新店舗

スターバックス コーヒー ジャパンは2026年8月10日、横浜市の「旧長濱検疫所一号停留所」を活用した「スターバックス コーヒー 横浜海の公園店」を開業した。国の登録有形文化財である歴史的建築物を活用する店舗で、横浜市内の同社店舗として初の公園店舗でもある。

飲食店の新規出店では駅前一等地や大型商業施設への出店が一般的だが、今回の店舗は建物と周辺環境そのものを来店動機に変えている点が特徴的だ。飲食目的だけでなく、建築、歴史、海辺の景観、散策といった複数の目的を組み合わせることで、目的来店型店舗として成立させる考え方である。

「立地」から「体験」へ

従来の飲食店開発では駅乗降客数、通行量、商圏人口、視認性などの数値が重要だった。しかしSNSや地図アプリによって目的地型の店が発見されやすくなった現在では、人通りの多さだけでなく「わざわざ行く理由」が店舗価値になる。

歴史的建築物や古民家、倉庫、銭湯、旧銀行などを再利用する場合、新築店舗より設計や設備に制約が生じる可能性がある一方、一般的な内装工事では作ることのできない固有の物語を持つ。写真や動画で共有されやすく、開業そのものがニュースになりやすいことも大きな利点である。

小規模店にも応用できる考え方

すべての店舗が文化財に入居する必要はない。重要なのは、その物件にしかない特徴を集客資産として利用できるかである。路地、テラス、眺望、古い梁、地域の歴史、以前の店舗のストーリーなども差別化要素になる。

  • 物件選定:坪単価だけでなく発信可能な特徴を確認する
  • 設計:既存建物の魅力を消さず店舗ブランドと統合する
  • 地域連携:周辺施設や観光資源と来店動機を共有する
  • SNS:来店客が写真を撮りたくなる場所を設計段階から考える

新規開業で見るべき指標が変わる

ゼンショーホールディングスも2026年に各地で新店舗を継続的に開業しており、大手外食企業の出店活動そのものは続いている。ただし建築費、人件費、賃料が上昇する中、単純な店舗数拡大では投資回収が難しくなる。これからの開業では「何人通る場所か」だけでなく、「その場所だから来る顧客を作れるか」が重要になる。立地と店舗コンセプトを一体化させる出店戦略は、独立店にも参考になる考え方だ。

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