結論:建築図面だけで造作家具を製造開始しない
海外で造作家具を製造する場合、最も重大なリスクの一つが現場寸法との不一致です。建築図や設計図に記載された寸法と完成現場の実測寸法は必ずしも一致しません。壁の仕上げ厚、床レベル、柱、設備などによって有効寸法が変わるためです。
現場採寸後に製作寸法を確定する
壁から壁までぴったり収める什器、カウンター、壁面収納などは、可能な限り施工進捗を確認して実測値を製作図へ反映します。
逃げ寸法を設計する
家具を現場寸法と完全に同寸法で作ると、わずかな施工誤差でも入らなくなります。そこでフィラー、見切り材、調整脚などを利用し、現場で吸収できる設計にします。
海外製作に向く設計
- 本体をモジュール分割する
- 現場調整用フィラーを設ける
- 巾木部分を調整可能にする
- 大型天板を分割する
- 設備開口に余裕を持たせる
製作図と意匠図を区別する
デザイン図は完成イメージを示す資料ですが、工場が必要なのは製作可能な寸法と構造を示した図面です。内部構造、板厚、金物、接合方法、配線孔などを製作図で確定します。
図面承認後の変更を管理する
現場工事は進行中に変更されることがあります。製作開始後に壁位置や設備位置が変わる場合は、家具側へ影響するか即座に確認します。古い図面を工場が使用しないよう、最新版管理も重要です。
実務チェックポイント
- 現場実測のタイミングを工程表へ入れる
- 設計寸法と実測寸法を比較する
- 調整代を設ける
- 搬入可能サイズへ分割する
- 製作図を施工会社にも確認してもらう
- 設備位置を確認する
- 図面の版番号を管理する
海外造作家具では製造精度だけでなく、現場誤差を吸収できる設計が重要です。「正確に作る」ことと「現場で納まる」ことは別問題であり、設計段階から施工性を組み込む必要があります。
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