2026年上半期の飲食店倒産は過去最多
帝国データバンクによると、2026年上半期に発生した飲食店の倒産は473件となり、前年同期の458件を3.3%上回って過去最多を更新した。集計対象は負債1000万円以上の法的整理であり、すべての閉店や廃業を含む数字ではない。それでも4年連続で増加していることは、外食市場の売上回復だけでは説明できない厳しい収益構造を示している。
約8割が小規模倒産
473件のうち負債5000万円未満は369件で全体の78.0%を占めた。大企業の大型破綻より、小規模・零細店舗の退出が中心である点が重要だ。業態別では酒場・ビヤホールが125件となり、前年同期105件から19%増加した。居酒屋を中心に、コロナ後の需要構造変化、人件費上昇、原材料価格上昇など複数の問題が重なっている。
売上増と倒産増が同時に起きる理由
一見すると、外食業界の売上が前年を上回っているのに倒産が増えるのは矛盾して見える。しかし売上高と利益は別物である。客単価を5%引き上げても、食材原価、人件費、光熱費、物流費、家賃などがそれ以上に上昇すれば利益は減る。さらに小規模店舗は仕入れ量が少ないため価格交渉力が弱く、最低賃金上昇や採用コスト増加も直接負担になる。
特に危険なのは、月商は維持できているため問題に気付きにくいケースだ。現金残高が徐々に減少し、税金や社会保険、設備修理、更新料などのまとまった支払いが発生した時点で資金繰りが急変する可能性がある。
閉店判断を遅らせない経営管理
店舗経営では、売上高ではなく限界利益と固定費を見る必要がある。食材原価率、人件費率、家賃比率、決済手数料、デリバリー手数料などを月次で確認し、商品ごとの粗利益額を把握することが重要だ。赤字店舗を複数抱える企業では、全店を守ろうとすることがグループ全体の資金を消耗させることもある。
- 商品:販売数ではなく粗利益額で評価する
- 営業時間:赤字時間帯の短縮を検討する
- 店舗:撤退費用も含めて継続と閉店を比較する
- 資金:最低6カ月程度の資金繰りを定期更新する
2026年後半もコスト管理が焦点
帝国データバンクは食材・光熱費や賃金の上昇などを飲食店の負担要因として挙げている。倒産件数の今後を断定することはできないが、現在のコスト環境が短期間で大きく緩和したとは言えない。市場が成長しているから自店も安全という考えは危険であり、利益率とキャッシュフローを守れる店舗だけが成長市場の恩恵を受けられる。
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