7月は売上・客数・客単価がそろって前年超え
日本フードサービス協会が2026年8月25日に公表した7月の外食産業市場動向調査では、外食全体の売上高が前年同月比106.8%となった。客数は103.2%、客単価は103.5%で、売上増を値上げだけで説明する状況ではなく、来店客数も前年を上回った。調査対象は234事業者、3万7272店舗で、ファストフード、ファミリーレストラン、パブ・居酒屋、ディナーレストランなど主要業態が広く含まれる。
6月は台風や雨天、曜日回りなどの影響から客数の伸びが鈍かったが、7月は天候が比較的安定し客足が回復した。ファストフードは売上107.5%、ファミリーレストランは105.7%となり、日常利用型の業態だけでなく、ディナーレストランなどでも前年を上回った。
数字の改善を「業界全体が楽になった」と読んではいけない
重要なのは、協会統計が主に一定規模の外食企業を対象とした全店データだという点だ。大手・中堅チェーンでは、期間限定商品、アプリ、会員施策、価格改定、出店などを組み合わせて売上を伸ばせる。一方、個人店や小規模事業者では、仕入れ、光熱費、人件費の上昇を十分に価格へ転嫁できず、売上が維持できても利益が残らないケースがある。
したがって経営者が見るべき指標は前年同月売上だけではない。客数、客単価、原価率、人件費率、営業利益額を同時に追跡し、「客数が伸びた結果として売上が増えたのか」「値上げで客単価が上がったのか」「販促費を増やして客数を作ったのか」を分解する必要がある。
値頃感を作れる店と作れない店の差
日本フードサービス協会は7月の概況で、各社のキャンペーンや値頃感への訴求が集客を左右している状況を指摘している。単純な値下げではなく、セット商品、時間帯別商品、期間限定品、ポイント還元などで実質的なお得感を作る手法が増えている。
一方で、全品を一律に安くすると粗利を失う。原価率の低い商品を入口商品として設定し、サイドメニューやドリンクを含めた注文単価で利益を確保する設計が必要になる。POSデータから商品別粗利と注文率を確認し、売れる商品ではなく利益を作る商品を把握することが重要だ。
今後は既存店客数が最重要指標
市場全体の売上が伸びている局面では、自店が前年割れしている場合に問題を発見しやすい。特に既存店客数が市場より弱い場合、価格、商品力、口コミ、営業時間、予約導線、立地周辺の競合変化などを点検する必要がある。
逆に売上が市場平均以上でも、原材料費や人件費の上昇で利益率が落ちていれば、成長しているとは言い切れない。2026年後半の外食経営では、「売上回復」から「利益を伴う客数成長」へ経営指標を切り替えられるかが焦点になる。
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