7月の訪日客は344万2,100人

日本政府観光局が2026年8月19日に発表した推計によると、2026年7月の訪日外客数は344万2,100人となり、前年同月比0.1%増で7月として過去最高を記録した。韓国、インドネシア、メキシコなど17市場で7月として過去最高となり、台湾は単月で初めて70万人を超えた。

訪日客数が高水準で続くことは、都市部や観光地の飲食店にとって重要な需要源になる。一方、国籍や言語が多様化するほど、店舗側には単純な英語メニュー以上の対応が求められる。

インバウンド売上は客数だけでは決まらない

観光庁はインバウンド消費動向調査を継続し、2026年4~6月期の速報などを公開している。訪日旅行者の消費は宿泊、買物、飲食、交通など複数分野に分かれるため、飲食店が旅行者の消費を取り込むには旅行行動の中で発見される必要がある。

外国人旅行者は来日前からGoogle、SNS、予約プラットフォームなどで飲食店を探す場合もある。店頭に英語メニューを置くだけでは、そもそも候補店として発見されない可能性がある。

最低限整備したい五つの項目

  • 店舗情報:英語・中国語などで営業時間とアクセスを掲載する
  • メニュー:料理写真、価格、主要食材を明確にする
  • 予約:海外から利用できるオンライン予約を用意する
  • 決済:主要クレジットカードやQR決済への対応を確認する
  • 食事制限:アレルギー、宗教、ベジタリアン対応について可能な範囲を明示する

外国人向け価格を単純に高くしない

インバウンド需要が強い地域では高価格メニューを提供する店舗も増えている。しかし重要なのは国籍による価格差ではなく、料理、サービス、体験に応じて価格を設定することである。予約限定コース、地域食材、調理実演など、価格の理由が分かる商品設計が必要だ。

また、外国人観光客だけに依存すると為替、航空便、国際情勢など外部要因の影響を受けやすい。国内客と訪日客の双方が利用できる店舗構造にした方が経営は安定する。

2026年後半は「予約前」の競争へ

訪日客数が増えれば自然に外国人客が来店するとは限らない。検索結果に表示され、料理内容を理解でき、予約でき、来店後にスムーズに注文・決済できるまでの一連の体験を整える必要がある。インバウンド対応は翻訳作業ではなく、外国人旅行者の顧客導線を設計するマーケティングになっている。