東京の飲食店可物件は坪3万円を超える

飲食店の新規出店で最大級の固定費となる家賃が上昇しています。アットホームが2026年5月に公表した50坪以下の貸店舗調査によると、東京9エリアにおける2025年度下期の飲食店可物件の募集賃料は坪当たり3万227円で、前期比6.4%上昇しました。飲食店不可物件の2万15円と比べても51.0%高い水準です。

対象となったのは銀座、新橋・虎ノ門、六本木、渋谷、原宿・表参道、恵比寿・目黒・中目黒、新宿、池袋、上野・浅草という主要エリアです。さらに募集物件数は前期比1.6%減少し、7期連続の減少となりました。飲食可能な好条件物件をめぐる競争は依然として厳しい状況です。

居抜きでも賃料以外の確認が必要

東京の飲食店居抜き物件を集計するINUKIBAの2026年7月レポートでは、掲載108件の平均賃料は43万円、中央値は33万円、平均坪数は16.4坪でした。居抜き物件は内装や厨房設備を引き継げるため初期投資を抑えやすい一方、設備の老朽化やレイアウト制約があります。

家賃は売上から逆算する

気に入った物件を先に契約してから必要売上を考えるのは危険です。例えば月額家賃60万円を売上高の10%以内にしたいなら、単純計算で月商600万円以上が必要です。月25日営業なら日商24万円です。客単価3000円なら1日80人を集客できる立地・席数・営業時間なのかを契約前に検証します。

  • 家賃だけでなく共益費を含める
  • 造作譲渡の金額と設備残存価値を確認する
  • ダクトや排気経路が予定業態に対応するか調べる
  • 電気・ガス容量を厨房機器の仕様と照合する
  • グリストラップや給排水の状態を確認する

安い物件が安い出店とは限らない

賃料が低くてもスケルトンから厨房、空調、給排水、電気、ガス、防水、排気設備を施工すれば初期費用が膨らみます。反対に家賃がやや高くても、厨房設備をそのまま利用でき、短期間で営業開始できれば総投資額を抑えられるケースがあります。家賃、保証金、工事費、造作代、開業までの空家賃を合計して判断することが必要です。

撤退条件まで契約前に確認する

契約期間、解約予告、原状回復、造作譲渡の可否は将来の撤退コストに直結します。開業時には成功する前提で考えがちですが、店舗経営では撤退時にどれだけ現金を残せるかも重要です。

今後の注目点

主要都市で店舗賃料が高止まりすれば、路面1階だけでなく地下、2階、駅から少し離れた立地をデジタル集客で補うモデルが増える可能性があります。2026年の物件選びでは、人通りの多さだけでなく、必要売上と総投資額を数字で逆算する姿勢が不可欠です。