家計消費は7月に実質3.6%減

総務省が2026年9月4日に公表した家計調査によると、7月の二人以上世帯の消費支出は1世帯当たり30万1245円で、前年同月比は名目1.5%減、物価変動を除いた実質では3.6%減となった。前月比の季節調整値は0.5%増だったものの、前年との比較では家計の購買力に引き続き圧力がかかっている。

一方、クロス・マーケティングが全国20~69歳3000人を対象に実施した2026年の食に関する調査では、直近1年間に月1回以上外食した人は62%だった。外食そのものが大幅に敬遠されているわけではなく、消費者が利用先や利用回数をより選別していると見る方が実態に近い。

外食は「なくす支出」ではなく「選ぶ支出」へ

家計が厳しくなった際、外食回数を完全にゼロにする人だけではなく、ランチ価格を下げる、飲み会回数を減らす、特別な日だけ高単価店を利用する、クーポンがある店へ切り替える、といった行動が増える。これにより市場では、低価格・日常利用と、高付加価値・目的利用の二極化が進みやすい。

中途半端な価格帯で「なぜこの価格を払うのか」が伝わらない店舗ほど競争が厳しくなる。例えば1500円のランチを提供するなら、ボリューム、素材、健康性、スピード、空間、接客など、1000円前後の商品との差を顧客が理解できなければならない。

価格改定は平均客単価だけで評価しない

値上げ後に客単価が5%上がっても、客数が10%落ちれば売上は減少する。さらに固定費が変わらなければ利益への影響は大きい。そのため価格変更時には、商品別販売数、注文構成、来店頻度、時間帯別客数、新規・リピーター比率を少なくとも数週間単位で比較したい。

特に、主力商品だけを大幅値上げすると来店理由そのものを失う可能性がある。主力商品は上げ幅を抑え、追加トッピング、ドリンク、デザート、高付加価値メニューなどで平均客単価を上げる方法も検討に値する。

節約局面ほど「失敗したくない」が強くなる

可処分所得への圧力が強いほど、消費者は一回の外食で失敗したくないと考える。そのため価格表示、料理写真、口コミ、メニュー情報、予約のしやすさが意思決定に与える影響は大きくなる。店頭に来るまで価格が分からない店舗や、ウェブ上のメニューが古い店舗は比較段階で候補から外れる可能性がある。

今後は消費額ではなく来店頻度の変化を追う

外食市場を見る際は、総支出だけでなく、消費者がどの用途を削り、どの用途を残しているかを見る必要がある。日常食、家族利用、仕事帰り、記念日、観光需要では価格許容度が異なるからだ。

2026年後半は、物価と実質所得の動きに加え、自店顧客の来店間隔が延びていないかを確認したい。売上が横ばいでも、値上げによって客数や来店頻度が減っている場合は、将来の顧客基盤が弱くなっている可能性がある。

参考・出典