7月の飲食業倒産が112件に到達

東京商工リサーチが2026年8月10日に発表した調査によると、7月の「飲食業」倒産は112件となり、同社が集計する1997年以降の30年間で7月として最多となった。前年同月比では6.6%増で、1月から7月までの累計も621件と前年同期を5.6%上回っている。2025年は年間1002件と高水準だったが、2026年もそれを上回るペースで推移している。

内容を見ると、物価高を要因とする倒産が23件、人手不足倒産が13件、人件費高騰による倒産が12件だった。特に人件費高騰型は前年同月の1件から大きく増えており、飲食店経営が原材料だけでなく労務コストの問題へ移っていることが分かる。

小規模店ほど値上げが難しい

飲食店は原価が上がれば販売価格に転嫁する必要がある。しかし地域の常連客を中心とする店舗や低価格を強みにしてきた業態では、100円、200円の値上げでも客数に影響する場合がある。そのため経営者が値上げをためらい、粗利益が縮小した状態で営業を続けるケースが生じる。

2026年上半期について帝国データバンクも、負債1000万円以上の法的整理に限った飲食店倒産が473件で過去最多と報告している。調査基準は東京商工リサーチと同一ではないため件数の単純比較はできないが、複数の調査機関が飲食店倒産の高水準を確認していることは重要だ。

危険信号は赤字になる前に表れる

  • 現預金:月商ではなく固定費の何カ月分を確保しているか
  • 原価率:仕入価格改定をメニュー価格へ反映できているか
  • 人件費率:求人難による時給上昇や残業増を含める
  • 借入返済:営業利益ではなく実際のキャッシュフローで確認する

撤退判断も経営戦略の一部

採算性の低い店舗を維持し続けることで、黒字店舗まで資金不足に陥るケースは避けなければならない。多店舗企業では閉店、営業時間短縮、業態変更、店舗統合を早めに検討する必要がある。単店経営でも、賃料交渉やメニュー削減、定休日の再設定など選択肢はある。2026年の倒産増加は、売上規模の拡大だけでなく、撤退ラインと資金繰りを事前に決めておく重要性を示している。