値引きの目的を「今日の集客」から変える

吉野家は2026年8月27日から9月23日まで、「あすトク」キャンペーンを実施している。毎日17時から23時までに税込300円以上利用した顧客に対し、翌日に税込300円以上の会計で使える200円引きクーポンをレシートで発行する仕組みである。

一般的な値引きキャンペーンはその日の会計を安くする。一方、今回の仕組みでは値引きを受けるためには翌日もう一度店を利用する必要がある。販促費を現在の来店ではなく「次回来店」のために使用している点が特徴的だ。

飲食店で重要なのは新規客より再来店

新規顧客を獲得するには広告、グルメサイト、SNS広告など一定の費用が必要になる。既に店舗を利用した顧客であれば、料理や価格、場所を理解しているため、再来店の心理的ハードルは低い。

したがって販促費を考える際には、何人集客したかだけでなく、何人が二度目の来店をしたかまで測定する必要がある。クーポン利用率、再来店までの日数、再来店時の客単価などを記録すれば施策の利益効果を評価できる。

翌日限定が作る行動理由

期限を長く設定したクーポンは忘れられやすい。翌日限定にすると「明日使わなければ失効する」という明確な期限が生まれる。夜の利用客を翌日の朝食やランチに誘導できれば、異なる時間帯の利用を促進する効果も期待できる。

  • 夜から翌朝への来店誘導。
  • 夜から翌昼への利用転換。
  • 普段利用しない時間帯を体験してもらう。

個人店でも応用可能

高度なアプリがなくても、紙のクーポン、LINE公式アカウント、QRコードなどで同様の仕組みを作れる。例えばランチ客に「48時間以内のディナーでドリンクサービス」、平日客に「翌週の同じ曜日に使える特典」を配布する方法が考えられる。

重要なのは値引き率ではなく、店舗が空いている時間帯へ顧客を移動させることである。満席の土曜日に割引を提供しても、割引なしで来店する客の売上を減らす可能性がある。販促は売上が弱い曜日や時間帯に限定した方が利益改善につながりやすい。

販促効果を売上だけで評価しない

キャンペーン後には発行枚数、利用率、利用時間帯、追加注文額、新規・既存顧客比率を確認したい。値引きによる売上増加があっても粗利益が減れば成功とは言えない。2026年の集客は単発値引きから「再来店の仕組み作り」へ進化しており、小規模飲食店でも顧客の次の行動まで設計するマーケティングが求められている。