結論:電気容量は厨房機器を決めてから逆算する

飲食店物件で「電気あり」という説明だけでは判断できません。重要なのは、計画する厨房・空調・照明・POS等を同時使用した際に必要な電力を確保できるかです。近年はIH調理器、食器洗浄機、スチームコンベクションオーブン、製氷機など電力を多く使用する設備も一般的で、既存容量では不足することがあります。

単相と三相を区別する

一般照明、コンセント等と、業務用空調や厨房機器で使用される動力系統は分けて確認します。物件内に分電盤があっても、希望機器に必要な電源方式が用意されているとは限りません。

まず厨房機器リストを作る

物件選定時点で完全な厨房図面を作る必要はありません。しかし主要機器の一覧と定格消費電力を整理すれば、概算負荷を把握できます。冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、食器洗浄機、IH、炊飯器、電子レンジ、給湯設備、空調、換気設備などを一覧化します。

現地で確認する場所

  • 電気メーター
  • 主幹ブレーカー
  • 分電盤
  • 動力盤
  • 既存配線
  • 建物側電気設備
  • 前テナントの設備仕様

ただし、主幹ブレーカーだけを見て「増設できる」と判断してはいけません。建物全体の受電設備や幹線容量に余裕がなければ、大幅な増量が困難な場合があります。貸主や管理会社を通じて確認し、必要に応じて電気設備業者による調査を行います。

容量不足で起こる問題

厨房設計後に容量不足が判明すると、機器変更、ガス機器への変更、受電設備工事などが必要になります。最悪の場合、予定業態を実現できません。特にオール電化厨房を計画する場合は、物件選定初期から電気容量を重要条件として扱うべきです。

空調負荷も忘れない

飲食店は客数、厨房発熱、照明、外気導入などによって空調負荷が大きくなります。既存エアコンが付いているから十分とは限りません。排気量を増やせば給気量も増え、空調負荷にも影響します。厨房設備と空調設備を別々に考えないことが重要です。

居抜き物件の注意点

前店舗と同じ飲食業態でも、厨房機器の構成が変われば必要電力も変わります。また既存配線や機器の老朽化も確認が必要です。「前の店が営業していた」という理由だけで設備能力を保証されたものと考えないようにします。

契約前チェックリスト

  1. 主要厨房機器の電力を一覧化する
  2. 単相・三相それぞれの設備を確認する
  3. 主幹・分電盤を確認する
  4. 建物側で増量可能か確認する
  5. 空調・換気設備の負荷を加える
  6. 増設工事の貸主承認条件を確認する

まとめ

電気容量不足は内装工事が始まってから発覚すると大きな損失につながります。物件申込み前に厨房機器表を作成し、設計者・電気設備業者と必要容量を概算することが重要です。飲食店物件は面積ではなく「必要なインフラを確保できる面積」として評価してください。