結論:解体見積の前に石綿調査を工程へ組み込む

既存飲食店や古いテナントの改装では、床、壁、天井、下地、耐火被覆などに石綿含有建材が使われている可能性を考慮する必要があります。「内装工事だから関係ない」と判断せず、解体・改修対象を確認したうえで法令に沿った事前調査を行います。

規模が小さくても事前調査は必要

厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトでは、解体・改修工事を行う際は規模の大小にかかわらず、工事前に対象部分のすべての材料について石綿含有の有無を事前調査する必要があると案内しています。2021年4月からは原則として設計図書等による調査と目視調査の両方が必要とされ、建築物については2023年10月から一定の要件を満たす者による事前調査が必要です。

調査結果の報告対象も確認する

環境省によれば、建築物の解体では対象床面積合計80平方メートル以上、建築物の改造・補修では請負代金合計100万円以上など、一定条件に該当すると事前調査結果の報告が必要です。報告対象外だから調査不要という意味ではない点に注意します。

工程への影響が大きい

工事開始後に石綿含有が判明すると、追加調査、施工方法の変更、処分、届出等によって工期が変わる可能性があります。賃貸開始日と開業日が決まっている飲食店では、この遅延が家賃や人件費に直結します。

見積書で確認すること

「解体工事一式」という見積だけでは、石綿調査費、分析費、除去費、処分費が含まれているか判断できません。調査と除去を別項目で確認し、含有が判明した場合の追加費用の考え方を契約前に整理します。

実務チェックポイント

  • 物件契約前に築年と改修履歴を確認する
  • 解体対象範囲を図面化する
  • 有資格者による調査が必要な工事か確認する
  • 分析が必要な材料を早期に特定する
  • 調査・除去・処分費を見積で区分する
  • 開業工程に調査期間を組み込む

石綿対策は解体業者だけの問題ではありません。発注者側も「いつ調べ、結果によって工事費と工程がどう変わるか」を把握しておくことで、改装途中の予算超過や開業延期を防ぎやすくなります。