8月の飲食業倒産が80件に増加
東京商工リサーチが2026年9月4日に公表した調査によると、8月の飲食業倒産は80件となり、前年同月比42.8%増加した。8月としては過去30年間で最多となった。1月から8月までの累計は701件で前年同期比8.8%増となっている。前年の年間飲食業倒産は1,002件で過去最多だったが、2026年も高水準が続いている。
7月にも飲食業倒産は112件に達し、7月として過去30年間で最多だった。7月時点では物価高、人手不足、人件費高騰を原因とする倒産も目立っており、単月の特殊事情ではなく構造的な経営負担が続いていることが分かる。
売上不足だけが倒産原因ではない
現在の飲食店経営で特徴的なのは、客が戻っている地域や業態でも倒産が発生していることである。売上がコロナ前の水準に戻っても、食材価格、賃金、電気・ガス代、物流費、家賃などが以前より高ければ、同じ売上では同じ利益を確保できない。
特に小規模店では、仕入量が少ないため大手チェーンほど価格交渉力を持ちにくい。さらに経営者自身が現場に入り、経理や原価計算を後回しにすると、利益減少に気付いた時には運転資金が不足しているケースも起こり得る。
危険なのは「忙しいのにお金が残らない」状態
倒産防止で確認すべきなのは月商だけではない。食材原価率、人件費率、家賃比率、営業キャッシュフローを毎月確認する必要がある。売上が増えているのに現預金が減少している場合、原価上昇や支払条件、借入返済などを含めた資金繰りを点検すべきだ。
- 主要商品の原価を最低でも月1回更新する
- 仕入価格上昇をメニュー価格へ反映できているか確認する
- 赤字となる曜日・営業時間を把握する
- 借入金返済を含め6か月先まで資金繰り表を作る
- 閉店を決める前に事業譲渡や居抜き売却も検討する
早期の事業再構築が重要
飲食店は設備、内装、営業許可、人材、顧客基盤など複数の資産を持つ。そのため「営業継続」か「破産」かの二択ではない。赤字店の撤退、営業時間短縮、メニュー削減、セントラルキッチン活用、M&A、事業譲渡など複数の再生手段がある。
重要なのは現預金がなくなる直前まで判断を遅らせないことだ。資金余力が残っている段階ほど、買い手探しや金融機関との交渉、店舗整理を選択しやすい。2026年の倒産統計は、飲食業界全体が衰退していることを意味するものではないが、コスト上昇に対応できない店舗の淘汰が進んでいることを示している。経営者には、売上拡大以上に利益構造と資金繰りを管理する能力が求められている。
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