2026年の外食M&Aは記録的ペース

M&A Onlineが2026年8月18日にまとめた適時開示ベースの集計によると、外食・フードサービス分野のM&Aは8月14日時点で33件となり、2025年年間の34件にすでに迫っている。2026年は100億円を超える大型買収も複数発生しており、大手外食企業が新規出店だけではなくM&Aを成長戦略に組み込む動きが強まっている。

代表例の一つが、SRSホールディングスによる京樽の子会社化である。SRSは8月7日、FOOD & LIFE COMPANIESから京樽の全株式を取得する契約を締結したと発表した。京樽はテイクアウト寿司「京樽」や「回転寿司みさき」などを展開している。SRS側はグルメ寿司事業の強化や首都圏店舗網の拡充などを目的としている。

一から出店するより時間を買える

飲食店を新規開業する場合、物件取得、内装工事、採用、教育、認知獲得などに時間がかかる。一方、既存企業やブランドを買収すれば、店舗、従業員、顧客、仕入れ網、ブランド認知をまとめて取得できる可能性がある。

特に優良物件の取得競争が激しい都市部では、複数店舗を一度に取得できるM&Aは店舗網拡大の有力な方法になる。ただし取得価格が高すぎれば、新規出店より投資回収が遅くなるため、買収後の収益改善計画が不可欠だ。

小規模飲食店にも事業承継市場が広がる

M&Aは上場企業だけの話ではない。8月26日には、飲食店に特化した売却・買収支援サービス「ミセウル」「ミセカウ」の提供開始も発表された。閉店を検討する店を、原状回復して廃業するだけではなく、次の経営者へ承継するという考え方である。

小規模店舗でも、立地、内装、厨房設備、営業実績、スタッフ、店名などに価値があれば、単純な居抜き譲渡以上の事業価値が付く可能性がある。

買い手が確認すべきポイント

  • 店舗別の売上と営業利益
  • 賃貸借契約を承継できるか
  • 従業員が継続勤務するか
  • 設備の所有権やリース契約
  • 未払残業代や税務リスク
  • ブランド使用権と商標

フランチャイズとM&Aの使い分け

多店舗展開では、自社出店、フランチャイズ、M&Aという複数の方法がある。フランチャイズは加盟者の資本を使って展開速度を上げやすい一方、品質管理や加盟店支援が必要になる。M&Aは既存店舗を一括取得できるが、買収資金と統合管理が必要だ。

2026年の外食M&A活発化は、店舗数をゼロから増やす方法だけでは成長速度に限界があることを示している。一方、売り手側にとっても、赤字になるまで営業を続けて閉店するより、価値が残る段階で承継先を探す選択肢がある。今後、後継者不足と店舗再編が進めば、小規模飲食店にとってもM&Aや事業承継はより一般的な経営手段になる可能性がある。