8月の飲食業倒産は80件

東京商工リサーチが2026年9月4日に公表した調査によると、8月の「飲食業」倒産は80件となり、前年同月比42.8%増加した。8月としては1997年以降の30年間で最多である。1〜8月累計は701件で前年同期比8.8%増。7月も112件と高水準だったため、小規模飲食事業者の経営環境が改善していないことが鮮明になった。

上半期段階ですでに過去最多

帝国データバンクも7月22日、2026年上半期の飲食店倒産が473件となり、前年同期458件を上回って上半期として過去最多だったと公表している。負債5,000万円未満が369件で全体の78%を占め、中小・零細店が中心である。大規模チェーンの破綻より、地域の居酒屋、ラーメン店、小規模レストランなどが静かに市場から退出している構図だ。

売上不足だけが倒産理由ではない

現在の特徴は、客が全く来ないから倒産するという単純な構図ではない。一定の売上があっても、食材価格、人件費、電気・ガス料金、賃料などが上昇し、営業利益が残らない店舗が増えている。値上げすれば客数が落ちる恐れがあるため、経営者が価格転嫁を遅らせ、その間に運転資金が減っていくケースもある。帳簿上は売上が前年並みでも、キャッシュが減り続けている店舗は注意が必要だ。

月次損益だけでなく13週間資金繰りを確認

飲食店は日々現金が入るため、資金繰り悪化に気付きにくい。経営者は月次損益だけでなく、少なくとも今後13週間の入出金予定を作成したい。家賃、給与、社会保険、仕入代金、税金、借入返済を週単位で並べれば、どの時点で資金が不足するか早期に見える。売上予測を楽観的に置かず、前年実績と予約状況を基準に複数シナリオを作ることが重要だ。

閉店判断を遅らせることにもリスク

不採算店を抱える多店舗企業では、「いつか回復する」という理由で赤字店舗を維持すると、利益店舗のキャッシュまで消費する。店舗別営業利益に加え、本部費配賦前のキャッシュ創出力、原状回復費、違約金、従業員の異動可能性を含めて撤退判断を行う必要がある。早期撤退は失敗ではなく、資本を次の成長店舗へ移す経営判断でもある。

2026年後半は資金繰り管理が最優先

倒産件数が過去最多ペースとなるなか、外食経営者は売上拡大策と同時に「資金を失わない仕組み」を作らなければならない。原価率、人件費率、家賃比率を月次で確認し、基準から外れた店舗は即座に改善計画を作る。値上げ、営業時間短縮、メニュー削減、仕入先変更、撤退を含め、判断を先送りしないことが重要になる。2026年の倒産統計は、黒字化までの時間を漫然と待てる経営環境ではなくなったことを示している。