結論:保健所確認は厨房工事が終わってからでは遅い

飲食店を営業するには、営業形態に応じて食品衛生法に基づく営業許可等の確認が必要です。物件を契約し、内装工事を完成させてから保健所へ相談すると、施設基準に合わせるため設備変更が必要になる可能性があります。物件候補が絞られた段階から相談するのが実務的です。

営業許可制度は2021年に大きく見直された

厚生労働省および東京都は、改正食品衛生法に基づく新たな営業許可・届出制度が2021年6月1日から施行されたことを案内しています。営業許可業種と施設基準も見直されているため、古い店舗の許可条件をそのまま現在の出店計画へ当てはめるべきではありません。

「前の店に許可があった」は新店舗の許可を保証しない

営業者、営業内容、施設状況が変わるため、前テナントが飲食店だったからといって新しい営業者が自動的に営業できるわけではありません。居抜き物件でも、新規出店として必要な手続と施設基準を所管保健所へ確認します。

図面段階で相談する

東京都の案内では、一般営業施設の新規申請時に施設の構造及び設備を示す図面等が必要とされています。工事着工前に厨房平面図を作成し、シンク、手洗い、冷蔵設備、食器保管、給湯等の配置について所管保健所へ相談すると、完成後の手戻りを防ぎやすくなります。

営業内容を具体的に説明する

「レストランをします」だけではなく、店内飲食、テイクアウト、仕出し、菓子製造など何を行う予定か整理します。製造・販売内容によって必要となる許可等が異なる可能性があるためです。将来的にEC販売や製造を追加する計画がある場合も、最初から相談しておくと店舗設計を考えやすくなります。

HACCPに沿った衛生管理

厚生労働省によれば、2021年6月1日から原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理への取組が制度化されています。物件設計でも、清掃しやすさ、食品と非食品の保管、衛生的な作業動線など運営方法を考慮することが重要です。

物件契約前の確認項目

  • 予定する営業内容
  • 必要となる営業許可等
  • 厨房面積とレイアウト
  • 給排水設備
  • 手洗い設備
  • 給湯設備
  • 冷蔵・保管設備
  • 清掃可能な内装計画
  • 所管保健所の確認

申請スケジュールを開業工程に入れる

東京都の案内では、一般営業施設の新規許可申請について施設工事完成予定日の10日くらい前の提出を案内しています。ただし特別区等では手続や様式が異なる場合があるため、実際の出店地を所管する保健所へ事前確認してください。

まとめ

営業許可は行政手続であると同時に、店舗設計の前提条件です。物件を借りてから「この厨房では難しい」とならないよう、候補物件の段階で営業内容を整理し、設計者と所管保健所へ相談してください。建築、消防、食品衛生を並行して確認することが開業工程を守る基本です。