米の在庫は増えたが、外食向け価格はまだ高い
農林水産省が8月28日に公表した2026年7月の米穀流通データによると、7月末の全国民間在庫は出荷・販売段階を合わせて162万玄米トンとなり、前年同月より70万トン増加しました。在庫面だけを見れば前年より余裕がある状態です。
しかし飲食店にとって重要なのは実際の仕入れ価格です。米穀販売事業者による2026年7月の中食・外食事業者等向け販売価格指数は前年同月比112.6%でした。販売数量は前年同月比93.9%です。つまり流通在庫が回復しても、業務用の調達価格が短期間で前年水準に戻ったわけではありません。
価格低下には時間差が生じる
米は産地、銘柄、契約時期、精米、物流条件などによって店舗の仕入れ価格が異なります。農林水産省の資料では、2026年6月の令和7年産米の相対取引価格は全銘柄平均で玄米60キログラム当たり3万1305円でした。スーパーの小売価格が下落傾向を示していても、飲食店の年間契約や卸売価格に反映されるまでには時間差が生じる場合があります。
米飯業態は原価率だけでは不十分
定食、丼、寿司、カレー、焼肉など米の使用量が多い業態では、仕入れ単価上昇が利益に直結します。ただし単純にご飯を減らせば顧客満足度を損なう可能性があります。必要なのは盛付量の標準化、炊飯ロスの把握、廃棄削減、サイズ選択制などです。
- 炊飯量を曜日・時間帯別販売実績に合わせる
- 盛付量を計量してスタッフ間のばらつきを減らす
- 大盛りを適正な追加料金にする
- 廃棄量を毎日記録し、売上と照合する
仕入先の複線化も重要になる
価格だけで仕入先を変更すると品質や供給安定性に問題が起きる場合があります。一方で一社依存もリスクがあります。主力仕入先との長期契約を基本にしながら、代替銘柄や別産地、スポット調達先を確認しておくことで供給不足時の対応力が高まります。
2026年産米の動向に注目
今後は新米の収穫量、集荷状況、相対取引価格、民間在庫の推移が焦点です。在庫増加は価格安定の材料ですが、外食向け価格がどの速度で下がるかは別問題です。飲食店はニュースの小売価格だけで判断せず、自店の実際の納入単価と使用数量を月ごとに記録し、メニュー価格や量目設計に反映する必要があります。
LINE
WeChat