建設工事費データが8月末に更新

国土交通省は2026年8月31日、建設工事費デフレーターの月次データを更新した。2026年4月分から基準を2020年度基準へ変更しており、さらに8月31日には算出に使用する消費者物価指数の基準改定を受け、2020年度以降の数値を更新している。建設工事費デフレーターは店舗内装費を直接示す指数ではないが、建築・設備工事を取り巻くコスト環境を確認する参考指標となる。

飲食店物件は家賃だけで選べない

飲食店を開業するとき、物件賃料と保証金に目が向きやすい。しかし厨房を設置する業態では、給排水、電気容量、ガス容量、排気ダクト、グリストラップ、搬入経路などが初期投資を大きく左右する。賃料が安い物件でも、電気容量の増設や排気経路工事に高額な費用がかかれば総投資額は増える。

居抜きでも設備をそのまま使えるとは限らない

居抜き物件では厨房機器やダクトが残っているため初期費用を抑えられるように見えるが、前テナントと新業態で必要能力が違う場合がある。焼肉、ラーメン、中華料理など熱量や排気量が大きい業態では特に注意が必要だ。冷蔵庫や製氷機も年式が古ければ電力消費や故障リスクが高く、開業直後の交換につながる。

省力化設備を内装計画と同時に考える

農林水産省の飲食店向け省力化ガイドブックでは、自動調理機器、セルフオーダー、配膳設備などさまざまなツールが紹介されている。新店舗でこれらを導入する場合、開店後に追加するより、設計段階で動線と電源を組み込む方が効率的だ。配膳ロボットを使うなら通路幅や段差、モバイルオーダーを使うなら厨房ディスプレーの位置まで検討する必要がある。

内装見積もりは項目別に比較

複数業者から見積もりを取る際、「一式」表記だけで価格を比較すると内容差が分からない。解体、造作、厨房、給排水、電気、空調、換気、消防、家具、看板などに分け、どこまで含まれているかを確認したい。また工期遅延は家賃だけが発生する空白期間を生むため、開業日から逆算した工程管理も必要である。

契約前の設備調査に費用をかける

物件取得後に重大な設備不足が判明すると、撤退するにも違約金が発生する可能性がある。候補物件の段階で設計者、厨房業者、施工会社に確認を依頼する費用は、開業後の追加工事に比べれば小さい。2026年の店舗開発では、賃料だけで物件を選ぶのではなく、内装・設備・省力化機器まで含めた総投資額を算出した上で契約を判断することが重要になっている。