改善しても飲食店が人手不足トップ

帝国データバンクが2026年8月17日に発表した人手不足調査によると、7月時点で非正社員の不足を感じている飲食店企業は57.7%だった。前年同月から4.1ポイント改善し、4月以降4カ月連続で6割を下回っているものの、業種別では依然として最も高い水準である。

全国企業全体では正社員不足51.3%、非正社員不足28.8%であり、飲食店のアルバイト・パート不足が突出していることが分かる。

外国人採用にも大きな制度変化

農林水産省によると、外食業分野の特定技能1号在留者数が受入れ見込み数の5万人を超えることが見込まれたため、2026年4月13日から在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置を取る方針が示された。

外国人材を新たに海外から採用することを前提に出店計画を作っていた企業にとって影響は大きい。既に国内にいる外国人材、留学生、特定技能2号、今後の育成就労制度など複数の制度を理解した採用戦略が必要になる。

採用人数より「辞めない店」を作る

人手不足への対応で最も費用がかかるのは、採用して短期間で退職し、再び募集するサイクルである。求人広告費だけでなく教育時間や既存スタッフへの負担も発生する。

定着率を高める基本策

  • 仕事内容を標準化し、初日から理解できるマニュアルを整備する。
  • シフト作成を早めることで従業員が生活予定を組みやすくする。
  • 外国人スタッフ向けに多言語化した業務資料を準備する。
  • 店長だけに教育を依存しない動画やデジタルマニュアルを活用する。

省人化と接客品質のバランス

セルフオーダー、モバイル注文、セルフレジなどによって一部業務を削減することも有効だ。ただし全てを機械に置き換える必要はない。注文や会計など定型業務をデジタル化し、料理説明やクレーム対応、常連客との会話など人にしかできない業務へスタッフを集中させる方が現実的である。

今後の注目点

外食分野では育成就労制度の運用準備も進んでおり、外国人材制度は今後も変化する。制度変更を知らず採用計画を立てることは経営リスクになる。人材確保を単なる求人活動ではなく、制度理解、定着率、教育、省人化を含めた経営戦略として考える必要がある。飲食店の採用競争は人数を奪い合う段階から、働き続けたい店舗を作る競争へ移行している。