夕食を食べると翌日200円引き

吉野家は2026年8月27日から9月23日まで、17時から23時の間に税込300円以上利用した客に、翌日に使える200円引きクーポンをレシートで発行するキャンペーンを実施している。利用にも税込300円以上という条件があり、単に値引きを配布するのではなく、当日の夕食利用から翌日の朝食・昼食・夕食へと来店を連続させる仕組みになっている。

値引きの目的を「再来店」に設定

飲食店の値引きキャンペーンでは、値下げした日に客数は増えても終了後に元へ戻るケースがある。今回の施策は、今日の購入が明日の来店動機を生むため、キャンペーン費用を再来店獲得に使っている点が重要だ。顧客にとっても利用条件が分かりやすく、アプリを必須とせずレシートで完結するため参加障壁が低い。

日本マクドナルドも8月17日から28日まで炭酸ドリンクのS・Mサイズを150円で販売する期間限定施策を実施した。通常価格からの割引幅を明示し、猛暑期に需要の高い商品を対象とすることで来店理由を作った。両社に共通するのは、全メニューを安くするのではなく、期間と対象商品を限定していることである。

中小飲食店でも使える考え方

個人店が大手と同じ割引額を設定する必要はない。重要なのは、割引を使ってどの行動を増やすのかを事前に決めることだ。例えばランチ客をディナーに誘導したいなら、昼の会計で夜限定の特典を出す。平日の客数を増やしたいなら、週末客に平日限定クーポンを配る。初回来店客を固定客にしたいなら、次回来店期限を短くした特典を渡す方法が考えられる。

値引き額より粗利益を確認する

500円の商品を200円引きにすれば売上は300円になるため、原価、人件費、決済費を考えると赤字になる可能性がある。クーポン利用時の最低購入金額を設定したり、原価率の低いドリンクやサイドメニューとのセット条件を付けたりすることで採算を調整する必要がある。

マーケティングを売上ではなく顧客行動で測る

キャンペーン評価では期間中売上だけでなく、クーポン発行数、利用率、翌日来店率、平均購入額、新規客比率などを見る必要がある。POSや予約システムで追跡できれば、どの特典が本当に利益を生んだか比較できる。

原材料高が続く2026年に恒常的な値下げを行うことは経営リスクが大きい。一方、期間限定かつ目的を明確にした値引きは、空席時間の稼働率を高める手段になり得る。吉野家の施策は、値引きを価格競争ではなく再来店設計として使う考え方を示している。

参考・出典