東京主要エリアで空室がほぼ消える

CBREが2026年8月18日に公表したリテールマーケットビューによると、2026年第2四半期の主要商業エリアでは店舗賃料の上昇と空室率低下が続いた。新宿のプライムエリア空室率は0.0%となり、表参道・原宿も0.1%。東京4エリアでは店舗空室が事実上枯渇した状態とされる。

平均賃料は全国10エリアのうち5エリアで前期から上昇し、新宿を除く4エリアで過去最高値を更新した。

飲食店にとって家賃上昇は固定費上昇

食材費はメニュー変更や仕入先変更によって一部調整できるが、家賃は契約期間中毎月発生する固定費である。出店時に高い家賃を受け入れると、売上が計画を下回った場合でも支払いは変わらない。

特に人気立地では「物件が出たらすぐ契約しなければ取られる」という心理が働きやすい。しかし店舗取得を急ぎ、必要売上を計算せず契約することは危険である。

物件を見る前に決める数字

  • 目標月商:席数、客単価、回転数から現実的に計算する。
  • 家賃比率:売上に対してどこまで賃料を負担できるか決める。
  • 損益分岐点:最低何人の来客が必要かを把握する。
  • 初期投資回収年数:保証金、内装、厨房設備を含めて計算する。

一等地だけが正解ではない

検索、SNS、Googleマップ、予約サイトなどによって目的来店型店舗を作れるようになり、必ずしも駅前一等地でなければ成功できない時代ではなくなった。二階、地下、駅から数分離れた場所でも、家賃差によって十分な利益が残る場合がある。

例えば月額家賃が100万円違えば年間1200万円の固定費差になる。その分を広告や人材、料理品質へ投資するという考え方も可能だ。

設備条件も契約前に確認する

飲食店では電気容量、ガス、給排水、排気、グリストラップ、防水、営業時間制限などの確認が欠かせない。物件価格が安くても設備工事に多額の費用が必要なら総投資額は増える。

東京の店舗市場が貸し手優位になるほど、経営者側には冷静な収支判断が求められる。人気立地を取ることが目的ではなく、その場所で投資額を回収し継続的に利益を出せるかどうかが出店判断の基準である。