結論:「重飲食可」は法令上の統一規格ではない
店舗物件の募集で頻繁に使われる「軽飲食」「重飲食」という言葉は、物件選びでは便利ですが、それだけで営業可能性を判断するのは危険です。焼肉、中華、焼鳥、鉄板焼き、ラーメンなどは大量の煙、油、臭気、熱を発生させるため、貸主が飲食店を認めていても設備面で実現できないことがあります。
重飲食で確認する6条件
1.排気
最重要条件です。必要風量を確保できるダクトがあり、近隣に影響しにくい位置へ排気できるか確認します。
2.給気
大量排気には給気が必要です。給気不足では厨房環境や空調バランスが悪化します。
3.火気と熱源
ガス機器を大量に使用する場合、ガス容量と配管だけでなく消防上の確認が必要です。東京消防庁では、同一厨房内の給湯湯沸設備を含む火気使用設備・器具の入力合計が120kW以上となる場合、「火を使用する設備等設置届出書」が必要と案内しています。
4.油脂排水
焼肉、中華、ラーメンなどでは油脂を含む排水が多くなります。適切なグリース阻集器を設置できるか確認します。
5.消防設備
テナント工事による間仕切り変更などで、自動火災報知設備や誘導灯等の増移設が必要になることがあります。東京消防庁管内では工事内容等に応じて所定の届出が必要となるため、着工前の確認が重要です。
6.貸主・管理規約
設備上可能でも、建物側の使用細則で業態が禁止されていれば出店できません。営業時間、臭気、煙、看板、ゴミ処理なども確認します。
「前も焼肉店だった」は安全材料ではあるが保証ではない
前テナントが同業態なら設備を利用できる可能性は高まります。しかしダクトの油汚れ、ファン能力、ガス容量、消防設備、排水設備などが現在の計画に適合するかは別問題です。設備の老朽化や法令・運用条件の変化も考慮します。
物件申込時に業態を具体的に書く
貸主へ単に「飲食店」と伝えるのではなく、「炭火焼鳥」「焼肉」「豚骨ラーメン」など実態を説明することが重要です。使用予定の熱源、営業時間、排気方法まで提示すると、契約後の認識違いを防ぎやすくなります。
判断表
| 条件 | 確認内容 |
|---|---|
| 排気 | 必要風量・ダクト経路・出口 |
| 給気 | 外気導入経路 |
| 熱源 | ガス・電気容量 |
| 排水 | 管径・阻集器 |
| 消防 | 必要設備・届出 |
| 契約 | 業態が明示的に承諾されているか |
まとめ
重飲食可という一言では物件の適否を判断できません。「貸主が認める」「設備上実現できる」「法令・消防・衛生上対応できる」という複数条件がそろって初めて出店候補になります。重飲食ほど契約前の設備調査に費用と時間をかける価値があります。
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