博物館の中に新たな飲食体験
東京国立博物館では2026年8月28日、「THE RESTAURANT 東京国立博物館」と「ガーデンカフェ」がオープンした。さらに9月30日には「鮨会席 おく乃」の開業が予定されている。運営側は、鑑賞と食を組み合わせた文化体験として新施設を位置付けている。
新店舗情報そのもの以上に注目したいのは、飲食店が単独で集客するのではなく、博物館や観光施設など既存の目的地と一体になって顧客体験を形成している点だ。
立地価値の考え方が変わる
従来の飲食店物件では駅距離、通行量、視認性、周辺人口などが重視されてきた。しかしインバウンド需要や体験型消費が広がる中、施設自体が強い集客力を持つ「目的地型立地」の価値が高まっている。
文化施設、ホテル、商業施設、観光地、スポーツ施設などでは、利用者がすでに現地を訪れる理由を持っている。このため飲食店側は広告だけに依存せず、施設利用者を自然に顧客化できる。一方で営業時間、施設休館日、イベント日程など外部条件に売上が左右される点には注意が必要だ。
新規開業で確認したいポイント
- 周辺人口より施設来場者数を確認する
- 観光客と地元客の比率を想定する
- 施設コンセプトと料理・内装の世界観を統一する
- イベント開催日と通常日の売上差を試算する
開業時代は「店を作る」から「体験を設計する」へ
2026年8月には串カツ田中など大手チェーンでも新規出店が続いている。成熟市場でも出店機会は存在するが、単純に人通りの多い場所へ店舗を増やすだけでは競争優位を作りにくい。
文化、観光、エンターテインメントと食を組み合わせる開業モデルでは、飲食そのものが訪問理由の一部となる。新規出店を検討する経営者にとって、坪売上や賃料だけでなく、「誰が何の目的でその場所を訪れるか」を立地評価に組み込むことがますます重要になる。
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