厚生労働省が夏期の監視指導を強化

厚生労働省は2026年7月1日から8月31日まで、食品・添加物等の夏期一斉取締りを実施した。8月31日時点で公表された情報には、飲食店で提供された食事を原因とするカンピロバクターやサルモネラ属菌による食中毒事例が含まれている。

東京都が8月26日に更新した速報によると、2026年8月15日現在の都内食中毒は57件、患者823人、死亡者0人だった。前年同期より事件数、患者数とも少ないものの、食中毒リスクがなくなったわけではない。

HACCPは書類ではなく日々の工程管理

食品衛生法では原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められている。小規模飲食店では厚生労働省等が公開する手引書を利用した簡略化された方法も認められているが、重要なのは記録用紙を保存すること自体ではない。

仕入れ、保管、加熱、冷却、提供までの工程のどこで危害が生じる可能性があるかを把握し、温度や時間などを日常的に管理することが中心になる。

特に注意したいポイント

  • 鶏肉:中心部まで十分に加熱し、生肉用器具を分離する
  • 冷蔵:冷蔵庫の温度を記録し、詰め込みすぎを避ける
  • 手洗い:調理工程ごとのタイミングをルール化する
  • 体調管理:従業員の下痢・嘔吐などを確認する
  • 記録:異常が起きた際に原因を追跡できる状態にする

衛生事故は営業停止以上の影響を与える

食中毒が発生すると、行政処分だけでなく口コミ、予約キャンセル、取引先との関係などにも影響する。SNSで情報が瞬時に広がる現在では、事故発生後のブランド回復に長期間を要する可能性がある。

一方で、衛生対策を過剰に複雑にすると現場で守られなくなる。温度確認、清掃、食材管理など店舗に必要な項目を絞り、誰が勤務しても同じ基準で実行できる仕組みを作ることが重要だ。2026年の飲食店経営では、衛生管理は法令対応であると同時にブランドを守る経営管理そのものである。