夏期一斉取締りが終了

厚生労働省は2026年7月1日から8月31日まで、食品・添加物等の夏期一斉取締りを実施した。夏場は高温多湿で細菌性食中毒のリスクが高まるため、自治体が食品事業者への監視・指導を強化する。厚労省の公表資料では、期間中に飲食店で提供された食事を原因とするカンピロバクター・ジェジュニ/コリの食中毒事例も示されている。

鶏肉の生・加熱不足は引き続き大きなリスク

カンピロバクター食中毒は、鶏肉などの加熱不足や調理中の二次汚染が問題になりやすい。表面だけを加熱した鶏料理や、生肉に触れた器具を十分に洗浄せず使用することは危険だ。飲食店は料理人の経験則ではなく、中心部まで十分加熱する工程と生肉用器具の区分を店舗ルールとして明確にする必要がある。

HACCPは書類を置くだけでは足りない

食品衛生法により原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められている。小規模飲食店は厚生労働省が公表する手引書を利用した簡略化した方法で対応できるが、衛生管理計画を作成しただけでは十分ではない。温度管理、清掃、従業員健康確認などを日々記録し、問題発生時に原因を追跡できる状態を保つことが重要だ。

人手不足時ほど衛生管理が崩れやすい

繁忙時や新人スタッフが多い店舗では、手洗い、器具交換、冷蔵庫温度記録などが後回しになりやすい。外国人スタッフを雇用する場合も、衛生ルールを日本語の文章だけで伝えるのではなく、写真、色分け、動画、ピクトグラムを使う方が理解しやすい。教育実施日と対象者を記録しておくことも有効だ。

食中毒は営業停止以外の損失も大きい

食中毒が発生すれば、行政処分だけでなく、予約キャンセル、口コミ悪化、補償、廃棄、原因調査対応など経営全体に影響する。複数店舗を運営するブランドの場合、一店舗の事故が全店の信用低下につながる可能性もある。衛生管理費を削減対象ではなく事業継続コストとして扱う必要がある。

秋以降もノロウイルスなど別リスクへ移行

夏期一斉取締りが終了しても衛生管理の重要性は変わらない。気温低下後はノロウイルスなど別の食中毒リスクが高まる。季節ごとに衛生管理計画を見直し、加熱、冷却、手洗い、従業員の体調管理を年間の教育計画に組み込むことが、事故を防ぐ最も基本的な対策となる。

参考・出典