建築・内装コストを無視できない出店環境

建設物価調査会が2026年8月に更新した建築費指数では、東京をはじめ主要都市の建築コスト動向が継続的に公表されている。飲食店の新規出店では建物本体だけでなく、内装、電気容量、給排水、厨房、空調、ダクト、防水など多くの工事項目が必要になるため、建築コスト上昇は開業予算に直接影響する。

東京の居抜き物件でも賃料以外の確認が必要

2026年7月時点の公開居抜き物件を集計したINUKIBAの市場レポートでは、掲載108件の平均賃料は月43万円、中央値33万円、平均面積16.4坪だった。ただし同サイトも、造作譲渡額、ダクト、グリストラップ、ガス容量、階数、駅導線などによって実質コストが変わると説明している。

飲食店では坪単価だけで比較すると判断を誤りやすい。月5万円家賃が安くても、ダクト工事や電気容量増設に数百万円かかる物件なら、5年間の総コストでは高くなる可能性がある。

居抜き設備は必ず状態を確認

冷蔵庫、製氷機、食洗機、エアコンなどが残っている居抜きは初期投資を大きく削減できる一方、保証切れや故障リスクがある。製造年、修理履歴、メーカーの部品供給状況を確認し、開業直後に交換が必要になった場合の費用も予算化する必要がある。

省エネ設備への更新も選択肢

東京都は2026年度、省エネ型ノンフロン機器の導入費用を支援する事業を実施している。対象機器や対象事業者には条件があるため、すべての飲食店設備が対象になるわけではないが、冷凍冷蔵設備を更新する際には自治体の助成制度を確認する価値がある。最新機器は購入価格が高くても、消費電力量や故障リスクの低減によって長期コストが下がる場合がある。

厨房設備では防火も重要

東京消防庁は飲食店の厨房設備について、レンジフードや排気ダクトに油脂やほこりが蓄積すると火災や一酸化炭素中毒事故につながる危険性を指摘している。居抜き物件では見える厨房機器だけでなく、天井裏やダクト内部の状態まで確認したい。

物件契約前に月商から逆算する

開業時には保証金、礼金、仲介料、造作代、内装工事、厨房設備、広告費、採用費、開業後の運転資金を一つの表にまとめる必要がある。その総額を想定営業利益で割れば投資回収期間を概算できる。2026年の出店では、家賃の安さよりも、既存設備を安全に利用できるか、何年で投資を回収できるかという視点が重要になっている。

参考・出典