家計調査では7月の実質消費支出が減少
総務省が2026年9月4日に公表した家計調査によると、二人以上の世帯の7月の消費支出は1世帯当たり30万1,245円で、物価変動の影響を除いた実質では前年同月比3.6%減となった。飲食店経営者にとって重要なのは、家計が名目上いくら使ったかだけではなく、物価上昇を考慮した実質購買力がどう動いているかである。食品、光熱費、住宅関連など生活必需支出の負担が増えれば、外食や娯楽など裁量的支出に使える金額は圧迫される。
一方で消費者態度指数は35.5に上昇
内閣府が9月1日に公表した2026年8月の消費動向調査では、季節調整済みの消費者態度指数は35.5となり、前月から0.6ポイント上昇した。家計支出の実績が弱い一方、消費者心理は小幅ながら改善しているという組み合わせである。この二つの数字は矛盾しているわけではない。家計が支出総額を慎重に管理しながらも、将来に対する心理が少し改善している可能性を示す。
「外食しない」のではなく店を選ぶ傾向が強まる
現在の市場では、消費者がすべての外食を減らすというより、利用する店舗と利用しない店舗を以前より厳しく選別することが想定される。日常のランチでは価格を抑え、休日や記念日には高単価店を利用するといった二極化も起こりやすい。飲食店側から見ると、中間的な価格帯で特徴が弱い店舗ほど競争が厳しくなる可能性がある。
したがって値下げだけを集客策にすることには注意が必要だ。原材料費や人件費が高い環境で値下げ競争を行えば、客数が増えても利益を失う。価格に敏感な客層にはセット商品や時間帯限定商品を用意し、価格より体験を重視する客には料理、空間、サービスなどで付加価値を提供する方が持続可能である。
経営者が確認したい4つの数字
- 来店客数:値上げ後に減少していないか
- 客単価:単純な価格改定か追加注文による上昇か
- 再来店率:新規客獲得だけに依存していないか
- 曜日・時間帯別売上:節約行動の影響がどこに出ているか
2026年秋は「選択的消費」への対応が重要
家計支出の実質減少だけを見て外食不況と判断するのは早い。一方、消費者心理の改善だけを見て需要拡大を期待するのも危険である。最新統計から読み取れるのは、家計が物価高の中で支出を慎重に選択しているということだ。飲食店には、安さ、高品質、専門性、利便性、体験価値など、自店を選ぶ明確な理由が必要になる。
今後は賃金、物価、消費者態度指数、外食客数を継続的に確認することが重要だ。市場全体の平均ではなく、自店の商圏と顧客層にどの統計が強く影響しているかを見極めることが、2026年秋以降の経営判断につながる。
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