結論:居抜き設備は「残っている物」ではなく「使える物」だけを資産評価する

居抜き物件では冷蔵庫、製氷機、シンク、フード、ダクト、空調、カウンターなどが残っているため、スケルトン物件より安く開業できる印象があります。しかし設備の状態を確認せず造作代金を支払うと、開業前に交換・撤去が必要となり、結果的に高い物件になることがあります。

厨房機器は製造年と動作を確認する

機器本体の銘板からメーカー、型式、製造年、電源、消費電力等を確認します。電源が停止している状態の内見では動作確認できないため、「現状有姿」で引き渡される場合の故障リスクを誰が負担するかも確認します。

設備リストを作成する

造作譲渡では口頭説明だけでなく、残置する設備を一覧化することが重要です。厨房機器、空調、ダクト、照明、家具、POS設備などについて、所有権が前テナントにあるのか、貸主設備なのか、リース品なのかを区別します。リース品を誤って譲渡対象に含めないよう注意します。

ダクトは内部を見る

外観がきれいでも内部に油脂が堆積していることがあります。東京消防庁は、排気ダクト等に蓄積した油脂が火災時の延焼要因になる危険性を示しています。居抜き取得時には清掃履歴を確認し、必要なら専門業者による点検・清掃費を見積もります。

グリース阻集器も確認

グリース阻集器はサイズだけでなく清掃状態が重要です。東京都下水道局は日常的な清掃と適正な維持管理を求めています。長期間清掃されていない場合は、引渡し条件として清掃を求める方法もあります。

造作価格を設備新品価格と比較しない

中古設備には使用年数、保証の有無、撤去費、運搬不能という要素があります。造作価格100万円だから新品設備300万円分を得られる、という単純比較はできません。再利用可能な設備の実質価値から、不要設備の撤去処分費を差し引いて判断します。

査定表

設備 確認事項
冷蔵冷凍庫 製造年・冷却・異音・電源
製氷機 製氷能力・給排水
フード 寸法・捕集範囲・清掃状態
ダクト 経路・油汚れ・風量
空調 能力・年式・動作
グリース阻集器 容量・清掃状態

撤退時まで考える

居抜きで引き継いだ設備でも、退去時には借主が撤去してスケルトンへ戻す契約になっている場合があります。取得時には価値がある設備が、撤退時には撤去費を伴う負債になる可能性があります。原状回復条項を必ず確認してください。

まとめ

居抜き物件の本当の価値は、造作の見た目ではなく「再利用可能な設備によって削減できる工事費」です。設備台帳を作り、所有権、年式、動作、清掃状態、撤去義務まで確認してから造作価格を判断することが重要です。