9月は品目ごとに価格方向が分かれる
農林水産省は2026年8月28日、9月の主要野菜の生育状況と価格見通しを公表した。東京都中央卸売市場への出荷を対象とした調査では、きゅうり、トマトは平年を上回って推移する一方、ばれいしょ、たまねぎなどは平年を下回る見通しとなった。天候不順や高温の影響が品目・産地ごとに異なるため、飲食店の仕入れ原価も一方向には動かない。
農水省は主産地、卸売会社などから聞き取りを行い、毎月見通しを更新している。直近では野菜価格の週次データも公表されており、仕入れ担当者が相場変化を把握するための一次情報として利用できる。
メニュー原価は「平均」で管理しない
飲食店で問題になるのは、食材価格上昇を店全体の平均原価率だけで見てしまうことだ。トマトを多く使うサラダ、パスタ、ハンバーガーと、たまねぎやじゃがいもを使う商品では9月の原価環境が異なる。全商品を同じ率で値上げするより、商品別原価を再計算した方が合理的だ。
例えば、高騰品目を大量に使うメニューは期間限定で盛り付けや付け合わせを変更し、価格が落ち着いている品目を活用した商品を前面に出す方法がある。ただし、原材料表示や顧客への説明が必要な変更については適切に対応しなければならない。
米価格も別に監視が必要
主食価格については農林水産省が「米に関するマンスリーレポート」を毎月更新し、相対取引価格、販売、在庫などの情報を公表している。定食、丼、寿司、弁当業態では、米価の変化が粗利に与える影響が大きい。
米を年間契約している事業者と、スポット仕入れ中心の事業者では価格変動への耐性が異なる。仕入先を単純に最安値で選ぶのではなく、年間供給量、品質、価格改定条件、代替産地を含めて契約を確認する必要がある。
仕入れ先を増やせば安全とは限らない
価格高騰時に複数仕入先を持つことは有効だが、小口発注を多数に分散すると物流費や管理工数が増える可能性もある。重要なのは「通常仕入先」「緊急代替先」「季節食材の専門先」など役割を分けることだ。
また、高騰したから即座に輸入品へ変更する場合、品質、規格、輸送期間、為替、食品表示など新たなリスクが発生する。仕入単価だけでなく歩留まりまで含めた実質原価で比較したい。
価格予測をメニュー会議に組み込む
食材価格は発注担当者だけが見る情報ではない。料理長、商品開発、店舗運営、経営者が月1回でも主要食材の価格見通しを共有すれば、期間限定メニューや販促商品の原価設計を早めに変えられる。
9月の野菜見通しのように、上昇品目と下落品目が同時に存在する局面では、「すべてが高い」という感覚的判断を避けることが重要だ。公的な相場情報を活用し、安定している食材を利益改善に使える店舗ほど、原価変動への耐性を高められる。
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