中国工場で寸法不良を防ぐ公差設定|店舗家具・什器の図面実務

結論:「寸法」だけでなく「許容できる差」を決める
中国工場へ製作図を渡す際、幅1200mm、高さ900mmなど設計寸法だけを記載し、完成品が完全にその数値になると考えるのは危険です。切断、溶接、木工、塗装、組立には一定の製造ばらつきがあります。重要なのは、そのばらつきが店舗施工や使用上問題にならない範囲に収まるよう、重要寸法と許容差を決めることです。
すべての寸法を同じ精度にしない
製品の全寸法へ過度に厳しい公差を要求すると、加工コストや検査工数が増えます。一方、施工に影響する寸法を曖昧にすると現場で納まらなくなります。寸法の重要度を分けることが必要です。
優先度が高い寸法
- 壁間に納めるカウンター幅
- 設備を組み込む開口寸法
- ボルト・アンカー穴位置
- 建具の枠寸法
- 複数部材を接続する位置
- 天板と機器の取合い寸法
比較的許容幅を持たせやすい寸法
単独で設置する家具の外形などは、使用性や意匠に影響しない範囲で一定の製造差を認められる場合があります。ただし具体的な許容値は素材、構造、製法、用途によって異なるため、案件ごとに設計者と工場で決めます。
基準面を明確にする
穴位置を複数の場所から寸法記入すると、どの面を基準に加工するか分かりにくくなります。特に組立家具では基準面・基準点を設定し、そこから重要寸法を指示すると誤差の累積を抑えやすくなります。
現場寸法には施工誤差もある
工場製品だけを高精度にしても、建築側の壁や床が設計図通りとは限りません。壁間いっぱいに家具を製作すると搬入できないことがあります。造作物では現場実測値、クリアランス、見切り材、調整方法まで含めて設計します。
| 寸法 | 管理の考え方 |
|---|---|
| 外形 | 設置条件との関係を確認 |
| 穴位置 | 基準点から測定 |
| 接続部 | 相手部品との互換性確認 |
| 現場取合い | 施工クリアランスを設定 |
検品方法まで図面と連動させる
重要寸法は図面上で識別できるようにし、検品表へ転記します。検品担当者が「どこを測るか」を自分で判断する状態にしてはいけません。測定位置、基準、使用する測定器を決めておくと再現性が高まります。
実務チェックポイント
- 重要寸法を特定したか
- 必要箇所に公差を設定したか
- 基準面・基準点が明確か
- 現場実測を行ったか
- 施工クリアランスを考慮したか
- 穴位置や接続部を重点検査するか
- 検品表と図面番号が一致しているか
寸法管理で重要なのは、すべてを厳しくすることではありません。「ずれると困る場所」を設計段階で特定し、その寸法を製造と検品の双方で重点管理することです。