飲食店の定期借家契約は危険か|内装投資を回収できる契約期間の考え方

結論:定期借家そのものではなく投資回収期間との不一致がリスク
定期建物賃貸借は、契約で定めた期間が満了すると更新されることなく契約が終了する制度です。貸主と借主が合意すれば再契約することはできますが、借主側が当然に営業を継続できる制度ではありません。
飲食店では内装、厨房、空調、ダクトなどに大きな初期投資を行うため、契約期間と投資回収期間の整合が特に重要です。
5年契約なら5年間営業できる、だけでは足りない
例えば工事期間が2か月あり、開業後に売上が安定するまで半年を要するなら、実質的な投資回収期間は契約期間より短くなります。また契約満了時には原状回復期間も必要です。
物件取得時には、保証金、礼金、仲介手数料、造作譲渡費、内装工事費、厨房設備費などを合計し、営業キャッシュフローから何年で回収する計画なのかを計算します。
再契約を前提に事業計画を作らない
募集時に「再契約相談」と説明されても、将来の再契約が保証されているとは限りません。建替え、売却、賃料条件変更、貸主の方針変更など様々な要因があります。再契約できなくても成立する事業計画を基本とし、再契約できれば追加利益が得られるという考え方の方が安全です。
契約書と別の事前説明にも注意
国土交通省の定期建物賃貸借Q&Aでは、契約期間を定め、書面により契約し、契約締結前に更新がなく期間満了で終了する旨について事前説明を行うことが示されています。事業用物件でも契約内容を専門家と確認することが重要です。
飲食店が確認する契約条件
- 契約開始日と終了日
- 再契約の規定
- 再契約料の有無
- 賃料改定条項
- 中途解約条項
- 解約予告期間
- 違約金
- 原状回復範囲
- 造作買取・残置の扱い
短期契約では内装投資上限を下げる
契約期間が短い場合、内装を豪華にするほど回収リスクが高くなります。居抜きを活用する、厨房機器をリース・中古で調達する、撤去再利用できる什器を増やすなど、契約期間に合わせて投資構造を変える方法があります。
定期借家物件の評価は賃料だけではできません。「契約満了時に再契約できなくても投資を回収できるか」を数字で確認してから契約することが、飲食店経営では重要です。