中国工場の品質基準をどう決める?「良品・不良品」を明文化する方法

品質問題の多くは基準の違いから始まる
中国工場へ「品質をしっかりしてください」と伝えても、それだけでは品質管理にはなりません。発注者が不良と思う状態を工場が許容範囲と考えていれば、完成後に大量の判定争いが起こります。重要なのは国の違いではなく、発注者と製造者の間で合否基準が共有されているかです。
品質基準を5分野に分ける
寸法
外形寸法だけでなく、組立や施工に関係する重要寸法を設定します。許容差が必要な部分は図面へ明記します。
材料
木材、鋼材、ステンレス、張地、石材、金物などの仕様を決めます。代替材料を使用する場合の承認方法も決めておきます。
外観
傷、凹み、色むら、塗装垂れ、接着剤跡、溶接跡、縫製、木目などを確認します。外観基準は観察距離や位置によって重要度が異なるため、正面、裏面、底面などに分ける方法もあります。
機能
扉の開閉、引出し、キャスター、アジャスター、照明部品など、製品として必要な機能を確認します。外観が良くても機能しなければ合格にはできません。
梱包
完成品が工場で無傷でも、現場到着時に破損していれば使用できません。コーナー保護、表面保護、箱内固定、部品同梱、品番表示なども品質条件として扱います。
「傷なし」ではなく判定方法を決める
外観不良は主観差が生じやすい項目です。例えば小さな傷でも店舗客から見える天板中央なら問題になり、家具底面なら使用上問題がない場合があります。傷の大きさだけでなく、場所、数量、視認性を組み合わせて考えます。
不良の重要度を分類する
安全に関係する不良、使用不能になる不良、外観上の不良などを同じ扱いにしないことが重要です。例えば椅子の構造破損につながる溶接不良と、底面の微細な擦り傷では影響が異なります。重大度を分類しておけば検品時の判断が速くなります。
基準品と写真を利用する
文章だけで説明しにくい塗装、木目、研磨、縫製などは承認サンプルや写真を併用します。ただし写真は照明や画面によって見え方が変わるため、色については可能な限り物理サンプルを利用します。
工程途中にも品質基準を適用する
完成品検査だけでは内部構造を確認できません。木工下地、金属フレーム、配線、接着など完成後に隠れる工程は製造途中で確認します。量産開始時、工程中、完成時の複数段階に検査ポイントを設定すると手戻りを減らせます。
品質基準書に入れる内容
- 製品番号と図面番号
- 承認サンプル番号
- 主要寸法と許容差
- 材料・仕上げ
- 外観判定条件
- 機能確認項目
- 梱包条件
- 不良時の処理方法
実務チェックポイント
品質基準は工場を責めるための書類ではありません。発注者、工場、第三者検品会社など誰が確認しても同じ判断に近づけるための共通言語です。要求を厳しくしすぎれば価格や納期へ影響するため、店舗運営上必要な品質水準とのバランスも必要です。
「高品質でお願いします」ではなく「この条件なら合格、この状態なら不良」と量産前に定義することが、中国調達の品質管理の基本です。