中国工場の検品基準書|「傷がある」を客観的な合否判定に変える

結論:品質要求を「第三者が同じ判断をできる基準」にする
中国工場へ「傷がないように」「高品質でお願いします」と伝えても、それだけでは検品基準になりません。発注者が不良と考える小傷を、工場は通常品質と判断する可能性があります。品質基準書の役割は、担当者の感覚を客観的な判定条件へ変えることです。
寸法には許容差を設定する
図面寸法が600mmだからといって、実製品を完全に600.000mmで作ることは現実的ではありません。製造方法と使用目的に応じて許容差を設定します。必要以上に厳しい公差は製造コストを上げるため、施工・組立・安全上必要な範囲を設計者と工場で決めます。
外観検査は観察条件を決める
傷や色差については、観察距離、照明、見る時間、対象面などを定めると判断差を減らせます。例えば客席側から常に見えるA面と、床側の見えないC面では同じ外観基準を適用する必要がない場合があります。
| 検査項目 | 基準化する内容 |
|---|---|
| 寸法 | 基準値・許容差 |
| 色 | 承認見本との比較方法 |
| 傷 | 大きさ・位置・観察条件 |
| ガタつき | 確認方法 |
| 部品 | 種類・数量 |
写真でOK・NG例を作る
文章だけでは伝わりにくい外観品質は、写真を使った限度見本が有効です。「この程度までは許容」「これ以上は不合格」という例を工場と共有します。サンプル製作中に発生した不具合をそのまま基準書の事例として蓄積できます。
不良分類を決める
安全性に関わる問題と、裏面の微細な傷を同じ扱いにすると判断が非効率になります。製品特性に応じて重大、主要、軽微などに分類し、出荷可否にどのように影響するか決めます。
検品前に合意する
最も避けたいのは、完成後に発注者が新しい品質条件を提示することです。工場側から見れば追加要求となり、費用や納期の争いになります。品質基準は見積・サンプル・量産承認の段階で合意します。
実務チェックポイント
- 主要寸法に合理的な許容差を設定する。
- 外観面を重要度別に分ける。
- 観察距離・照明等を定義する。
- OK・NG写真を作る。
- 機能確認方法を具体化する。
- 不良分類と処置を決める。
- 量産開始前に工場と承認する。
良い品質基準とは厳しい基準ではありません。製品用途に必要な品質を、発注者、工場、第三者検品会社の誰が見ても同じように判定できる基準です。これが中国OEMの品質交渉を感覚論から実務へ変えます。