中国OEMで図面・デザインを守る|工場への知財流出を防ぐ実務

結論:秘密保持契約だけでなく「渡す情報を管理する」
中国OEMでは、製造に必要な図面、CAD、3Dデータ、ロゴ、店舗計画などを工場へ提供します。オリジナル性が高い商品ほど、第三者への情報流出や無断製造を心配する発注者は多いでしょう。
知財対策ではNDAを締結するだけで安心せず、権利化、契約、アクセス管理、金型管理などを組み合わせる必要があります。
必要以上の情報を渡さない
工場に必要なのは、その工場が担当する製品を作るための情報です。店舗全体の設計図や全商品の原価表まで渡す必要はありません。複数工場へ分割発注する場合も、それぞれに必要な範囲だけ提供します。
図面へ識別情報を入れる
図面には会社名、プロジェクト名、図面番号、Revision、秘密情報である旨などを記載し、誰にどの版を渡したか記録します。CAD元データが不要ならPDFだけを提供するなど、編集可能データの提供範囲も検討します。
契約で使用目的を限定する
秘密保持だけでなく、提供した図面や金型を「当該発注品の製造以外に使用しない」「第三者へ提供しない」など用途を明確にします。JETROは中国とのクロスボーダー取引に関する秘密保持契約等のモデル資料を公開しており、契約設計の参考になります。
商標などは中国側での権利状況も確認する
中国で製造や販売に関わるブランドでは、中国における商標等の権利確認も重要です。JETROの中国知財情報では、中国の知財制度・法改正等に関する情報が継続的に提供されています。2026年にも中国の知的財産政策や商標法改正に関する情報が掲載されているため、古い知識だけで判断せず最新制度を確認します。
金型・治具の所有関係を明確にする
発注者が費用を負担して製作した金型でも、工場内に保管されていると所有関係が曖昧になることがあります。金型番号、所有者、保管場所、第三者使用禁止、契約終了時の返却・廃棄などを契約で整理します。
| 情報・資産 | 管理方法 |
|---|---|
| 図面 | 番号・版・配布先管理 |
| 3Dデータ | 必要時のみ提供 |
| ロゴ | 使用目的限定 |
| 金型 | 所有者・保管・使用条件明記 |
実務チェックポイント
- 製造に必要な情報だけ提供する。
- 図面番号と配布先を記録する。
- NDAと製造契約の両方で利用範囲を整理する。
- ブランドの中国側権利状況を確認する。
- 金型の所有権・使用権を明文化する。
- 契約終了後のデータ・金型処理を決める。
- 重要案件は中国知財に詳しい専門家へ相談する。
知財流出を完全にゼロにすることは簡単ではありません。しかし「全部渡してNDAに署名してもらう」方式から、情報そのものを管理する方式へ変えることで、実務上のリスクを大きく下げることができます。