飲食店の造作譲渡契約|前テナントから買う設備と「買ってはいけない設備」の見分け方

造作譲渡と賃貸借契約は分けて考える
居抜き店舗では、前テナントから厨房設備や内装を買い取る「造作譲渡」が行われることがあります。しかし造作を買ったからといって、その物件を借りられることが確定するわけではありません。貸主との新しい賃貸借契約が成立することを前提に進める必要があります。
譲渡対象を一つずつ特定する
「店内造作一式」という曖昧な記載だけで契約せず、設備一覧を作ります。メーカー、型番、数量、状態、所有者を記録します。
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 製氷機
- 食洗機
- 調理機器
- フード・排気設備
- 空調
- 照明
- 家具
- POS等
リース品を買わない
店舗内の設備にはリース会社所有のものが含まれる可能性があります。前テナントが所有していない設備を譲渡対象にできるとは限りません。契約書、リース明細、購入証憑等を確認します。
価格は前オーナーの投資額で決めない
「開業時に3000万円かけた」という説明は現在価値を示しません。自店がその造作を使うことで新設工事費をいくら削減できるかを基準に評価します。
| 設備状態 | 評価 |
|---|---|
| そのまま使用可能 | 新設費との差額を評価 |
| 修理が必要 | 修理費を控除 |
| 業態に合わない | 価値を低く評価 |
| 撤去が必要 | マイナス価値になり得る |
消防・保健所条件を再確認
既存設備をそのまま使う場合でも、新しい営業者、新しい業態として必要な行政手続を確認します。前店が営業許可を得ていたことだけで、新店の許可が自動的に得られるわけではありません。
退去時の責任を確認する
譲り受けたダクトや空調が退去時に撤去対象となる場合、購入時には価値があっても将来は撤去費を生みます。賃貸借契約の原状回復条項と造作譲渡契約を同時に確認します。
引渡日に動作確認する
可能であれば電気、水道、ガスが使用できる状態で設備を確認します。停止中で動作確認できない設備については、そのリスクを価格と契約条件に反映します。
造作譲渡は開業スピードを高める有効な手段ですが、設備を「資産」と思い込まないことが重要です。所有権、再利用価値、修理費、撤去費の4点を確認して初めて適正な譲渡価格を判断できます。