中国工場への図面改訂管理|古い図面で製造される事故を防ぐ方法

結論:図面には必ず「最新版を識別できる仕組み」を付ける
中国工場との取引で頻発するのが、「修正したはずなのに旧図面で製造された」という事故です。原因は工場の技術力よりも、発注者、貿易会社、営業担当、工場技術者の間で複数のPDF、CAD、画像が流通し、どれが最終版か分からなくなることにあります。
店舗家具や造作什器は設計変更が多く、現場寸法の確定後に高さや幅、金物位置を変更することも珍しくありません。したがって図面管理は設計業務ではなく品質管理そのものとして考える必要があります。
ファイル名だけで管理しない
「final.pdf」「final2.pdf」「最新.pdf」という管理は避けます。図面内部に正式な図面番号とRevision番号を記載します。例えば「TB-021 Rev.03」のようにし、変更のたびに番号を更新します。
- 製品コード
- 図面番号
- Revision番号
- 発行日
- 作成者・承認者
- 変更内容
これらを図面枠に表示すれば、ファイル名が変更されても図面自体から版を判断できます。
変更履歴を残す
Revisionを更新する際は「何を変更したか」を記録します。「寸法変更」だけでは不十分で、「天板高さ720mm→700mm」「脚プレート厚3mm→4mm」のように具体化します。中国側担当者が日本語を十分理解できない場合は、変更箇所を赤枠やクラウドマークで表示すると伝達精度が上がります。
旧版を明確に失効させる
最新版を送るだけでは、工場のPCやWeChatに旧版が残ります。最新版送付時には旧版を「VOID」「OBSOLETE」などとして失効させ、製造現場に旧版が残っていないことを確認します。重要案件では工場から「Rev.03を量産図面として受領した」と書面で返信を受けます。
量産承認は図面番号で行う
「この内容でお願いします」ではなく、「TB-021 Rev.03を量産承認」と明記します。発注書、検品表、承認サンプルにも同じ図面番号を記載すれば、基準が一本化されます。
| 段階 | 管理方法 |
|---|---|
| 初期設計 | Rev.00として発行 |
| サンプル修正 | 変更ごとにRevision更新 |
| 量産承認 | 承認Revisionを明記 |
| 検品 | 承認Revisionで測定 |
現場寸法変更との連携
飲食店施工では現場側の壁、柱、設備位置が図面と異なる場合があります。中国で造作什器を製造する場合、現場変更が工場へ伝わるまでの時間差が大きなリスクになります。そのため「設計凍結日」を設定し、それ以降の変更は納期と費用への影響を確認してから承認します。
実務チェックポイント
- 全図面に図面番号とRevisionを付ける。
- 変更履歴を図面内または変更表に残す。
- 変更箇所を視覚的に表示する。
- 最新版送付時に旧版を失効させる。
- 工場から最新版受領確認を取る。
- PO、サンプル、検品表のRevisionを統一する。
- 量産開始後の変更には再承認手続きを設ける。
図面改訂管理は難しいシステムを導入しなくても実施できます。重要なのは「誰が見ても現在有効な図面が一つに決まる状態」を作ることです。この基本を徹底するだけで、中国工場との仕様違いの多くを未然に防げます。