飲食店物件を契約する前の最終GO・NO-GO判定|出店判断を数字と設備で行う

結論:良い物件かではなく「この事業計画がこの物件で成立するか」を判定する
長期間物件を探していると、条件の良い候補が出た瞬間に「他社に取られる前に契約したい」という心理が働きます。しかし飲食店は契約後に多額の内装・厨房投資を行うため、最後の数日こそ冷静な確認が必要です。
最終判断では、商圏、売上、賃料、設備、初期投資、契約、撤退の七つを同じ表で評価します。
1.売上の成立性
通行量だけでなく、ターゲット人口、昼夜人口、曜日差、競合、客単価、席数、回転数から売上レンジを作ります。一つの強気シナリオだけでなく、標準・弱気のケースを用意します。
2.固定費
賃料だけでなく共益費、看板料、ゴミ処理費、設備使用料等を含めます。売上が弱気ケースになった場合でも固定費を支払えるか確認します。
3.初期投資
保証金、礼金、仲介費用、造作代、設計費、内装、厨房、空調、排気、電気、給排水、消防、看板、採用、開業前家賃まで集計します。見積未確定項目には予備費を持たせます。
4.設備成立性
| 設備 | GO条件 |
|---|---|
| 排気 | 必要量と適切な排気先を確保 |
| 給排水 | 厨房配置が成立 |
| 電気 | 必要容量を確保 |
| ガス | 必要能力を確保 |
| 空調 | 営業時負荷に対応 |
| 消防 | 計画と必要工事を把握 |
5.契約条件
契約期間、中途解約、違約金、賃料改定、業種制限、営業時間、看板、設備工事、再契約などを確認します。事業計画で想定する営業方法が契約上許されていることが前提です。
6.撤退費
原状回復、設備撤去、解約予告期間中の賃料、保証金償却を計算します。撤退費を支払えない出店計画は、失敗時に次の行動が取れなくなるため危険です。
7.未確認事項をゼロに近づける
最終判断で最も危険なのは「たぶん大丈夫」です。排気経路不明、電気増設可否未確認、営業時間は口頭回答のみ、といった項目を一覧にし、契約前に回答を取得します。
GO・NO-GO判定の実務
- 致命的条件を先に設定する
- 設備会社と施工会社を内見へ同行させる
- 重要条件は書面で確認する
- 弱気売上でも資金が持つか確認する
- 撤退費まで資金計画へ入れる
- 未確認事項を契約後へ先送りしない
良い店舗物件とは、駅前、路面、賃料が安い物件ではありません。自店の業態が技術的に営業でき、契約上許され、必要投資を回収でき、失敗時にも撤退できる物件です。100件の候補から最後の1件を選ぶ際ほど、この原則が重要になります。