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飲食店の物件選びは「立地」より先に設備条件を確認する|契約前の実務チェック

飲食店の物件選びは「営業できるか」から判断する

飲食店の出店では、駅距離、人通り、視認性、賃料が注目されます。しかし実務上、最初に確認すべきなのは予定する業態をその区画で実現できるかです。好立地でも、排気ダクトを屋上まで上げられない、必要な電気容量を確保できない、給排水能力が不足する、消防設備の追加工事が高額になる、といった理由で計画が成立しないケースがあります。

内見前に業態の設備要求を整理する

「飲食店をやりたい」だけでは設備条件を判断できません。カフェ、寿司店、ラーメン店、焼肉店、中華料理店では必要設備が大きく異なります。厨房機器リストを仮作成し、電気、ガス、水、排水、排気、給気の必要量を設計者と共有してから物件を見る方が合理的です。

確認項目 主な確認内容 問題発生時の影響
用途・管理規約 飲食利用、業態制限、営業時間 営業不可・業態変更
排気 ダクト径、経路、排気口位置 厨房計画変更
給排水 管径、排水勾配、阻集器 床上げ・配管工事
電気 既存容量、増設可能量 機器構成変更
ガス メーター、配管、供給能力 熱源変更
消防 既存設備、追加設備、届出 追加費用・工程延長

契約前に図面と現場を一致させる

募集図面だけで設備判断をしてはいけません。竣工図、設備図、既存テナント図面が残っていても、改修によって現況が変わっていることがあります。PS、EPS、ダクトシャフト、排水接続位置、メーター類、分電盤を現場で確認し、可能なら設計施工担当者を二回目の内見に同行させます。

「重飲食可」も設備保証ではない

募集広告に「重飲食可」とあっても、それだけで焼肉や中華料理が無条件に営業できるとは限りません。臭気、煙、油、騒音に対する建物側の条件や、ダクト工事の制限を確認する必要があります。最終判断は賃貸人・管理側への確認、法令確認、設備調査を組み合わせて行います。

消防署・保健所への事前相談を工程に入れる

東京都では、改正食品衛生法に基づく営業許可制度と施設基準が運用されています。また東京消防庁では、テナントの使用開始や一定の工事について届出が必要です。東京消防庁の案内では、防火対象物使用開始届出は使用開始日の7日前まで、修繕・模様替え・間仕切り変更等を行う場合の工事等計画届出は着手日の7日前までとされています。地域によって制度や運用が異なるため、所在地を管轄する行政機関へ確認します。

実務チェックポイント

  • 予定業態と営業時間を貸主に書面で伝える
  • 設備容量を設計者・施工者に確認してもらう
  • 排気口の位置と臭気の影響先を見る
  • 上階が住宅の場合は特に慎重に検討する
  • 消防・保健所への事前相談が必要か確認する
  • 工事区分と原状回復範囲を契約前に確認する
  • 設備不足を補う工事費を出店予算に加える

良い飲食店物件とは、賃料が安い物件ではなく、営業計画を無理なく実現できる物件です。契約後に設備不足が判明すると交渉力は大幅に低下します。設備・法令・契約の三方向から確認してから賃貸借契約へ進むことが、出店失敗を減らす基本です。

参考・出典