中国工場へ渡す図面の作り方|家具・什器製作で寸法トラブルを防ぐ方法

図面があっても仕様が伝わるとは限らない
中国工場への発注で頻繁に発生する問題が「図面どおり作った」「こちらの意図とは違う」という双方の認識差です。原因の多くは、図面に書かれている情報と発注者が頭の中で想定している情報が一致していないことです。
店舗設計の平面図や展開図は空間を設計するための資料であり、そのまま家具製造図になるとは限りません。製造に必要な情報を工場と共同で補完する必要があります。
図面に必要な基本情報
- 製品番号と名称
- 外形寸法
- 主要部材寸法
- 材料名と厚み
- 表面仕上げ
- 色指定
- 金物・部品
- 接合方法
- 取付位置
- 必要な許容差
特に「木」「ステンレス」「石」だけでは仕様として不十分です。樹種、材質、板厚、表面処理、石種、仕上げなど、品質や価格に影響する情報を具体化します。
基準寸法を決める
家具は複数寸法が連鎖しています。例えば椅子では全高、座面高、座面幅、奥行、背角度などがあります。すべての寸法に同じ重要度があるわけではありません。カウンター下に収納する椅子なら全高が重要になり、テーブルと組み合わせる場合は座面高との関係が重要になります。
造作家具では建築側の寸法誤差も考慮します。現場寸法を確認せず図面寸法だけで壁間いっぱいの什器を製作すると、数ミリから数センチの差で入らない可能性があります。
許容差をどう考えるか
製造品には一定の寸法差が発生します。必要以上に厳しい公差を設定すると製造コストが上がり、逆に曖昧だと施工できません。何のためにその寸法精度が必要なのかを工場と共有します。単体家具の外形寸法と、他部材へ嵌合する部品では必要精度が異なります。
色は画面だけで決めない
スマートフォンやPCではディスプレイによって色が変わります。塗装、木部、石材、張地など色が重要な部分は、可能であれば現物サンプルや標準化された色番号など、双方が同じ基準を確認できる方法を採用します。天然木や天然石は個体差もあるため、完全一致を要求するのではなく許容範囲を定義する考え方も必要です。
Revision管理が重要
店舗工事では設計変更が珍しくありません。そこで図面にRev.A、Rev.Bなどの改訂番号と日付を付けます。変更箇所を明示し、工場から「最新版を受領した」という確認を取ります。チャットで新しい寸法だけ送る方法は、工場内で旧図面が使われる原因になります。
製造前承認の流れ
- 設計図を工場へ送る
- 工場が製造図を作成する
- 発注者・設計者が確認する
- 修正箇所を反映する
- 最終版へ承認日を記録する
- 承認図を量産基準にする
実務チェックポイント
- 図面と見積書の品番を統一する
- 単位を明記する
- 材料と表面仕上げを分けて記載する
- 重要寸法を明示する
- 現場寸法が必要な製品を識別する
- 変更は図面へ反映してから指示する
- 最新版の図面番号を発注書にも記載する
図面管理の目的は、きれいな設計資料を作ることではなく「合格品とは何かを第三者でも判断できる状態にすること」です。工場担当者が変わっても同じ製品を作れる程度まで情報を明確化できれば、海外製造のリスクは大きく下げられます。