飲食店の壁材選び|クロス・塗装・タイル・木・金属を汚れと補修性で比較

結論:壁材は「どこまで人が触るか」で使い分ける
飲食店の壁材選びでは店内写真のイメージが先行しがちですが、実際の営業では椅子の背、客の荷物、配膳ワゴン、靴、油などが壁へ接触します。天井近くと床から1メートル程度の範囲では負荷がまったく違います。
クロス
施工しやすく選択肢が多い仕上げです。将来張替えしやすいこともメリットですが、椅子が当たる場所や油汚れの多い場所では傷みやすい場合があります。腰壁だけ別素材にする方法が有効です。
塗装
色を自由に調整でき、部分補修しやすいのが利点です。ただし艶の違いによって補修跡が見えることがあります。開業時の塗料メーカー、商品、色番号を記録しておくと補修時に役立ちます。
タイル
水や汚れに強く、カウンター周辺や腰壁に使いやすい素材です。一方、凹凸が大きいタイルは埃や油が入りやすいため、設置場所を選びます。目地の汚れも維持管理上のポイントです。
木質壁材
温かみと高級感を出しやすい素材ですが、飲食店ではホルムアルデヒド規制や防火上の内装制限との関係を確認する必要があります。国土交通省は、用途や規模、火気使用室などについて壁・天井に用いる内装材料の制限を示しています。
金属・ステンレス
厨房周辺やモダンな店舗に向きます。清掃しやすい一方、鏡面仕上げは指紋や傷が目立つことがあります。ヘアラインなど表面仕上げによって維持管理性が変わります。
防火性能を意匠より先に確認する
飲食店は建物条件、規模、階、火気使用状況などによって内装制限の対象となる場合があります。国土交通省の大臣認定では不燃材料NM、準不燃材料QM、難燃材料RMなどの認定番号が使われています。「不燃風」「防火仕様」という商品説明ではなく、設計者が必要性能と認定内容を確認します。
海外壁材では認定対象範囲に注意
海外メーカーの試験成績があるだけで日本の不燃認定として使用できるとは限りません。日本の大臣認定を取得している商品でも、基材、厚さ、接着剤などが認定仕様と一致するか確認します。
実務チェックポイント
- 椅子が当たる高さを確認
- 油が飛ぶ場所は清掃性優先
- 塗装色番号を保存
- 補修材を確保
- 内装制限の有無を設計者へ確認
- 不燃等の認定番号と仕様を照合
飲食店の壁は一種類で仕上げる必要はありません。上部は意匠性、腰壁は耐久性、厨房周辺は清掃性というように、負荷に応じて素材を使い分けることが長期的には経済的です。
