ホテル客室家具を海外調達する実務|一室モックアップから量産へ進む方法

結論:100室を作る前に1室を完成させる
ホテル客室家具は海外調達のスケールメリットが出やすい。一方、ベッドヘッドのコンセント位置が50mm違えば、その不具合が全客室へ繰り返される。量産数量が多い案件ほど、標準客室一室分のモックアップを完成させてから量産する価値が高い。
モックアップで見るのは家具単体ではない
ベッドヘッド、ナイトテーブル、デスク、テレビボード、クローゼット、ミニバーを実際の客室条件で組み合わせる。家具同士の色、壁との納まり、コンセント、照明、カーテンとの干渉などを確認する。家具工場内に仮設客室を作る方法もあるが、最終的には日本の現場条件との差を確認する必要がある。
電気部品を別管理する
家具にLED、USB、コンセント等を組み込む場合、家具本体と電気部品を同じ感覚で発注しない。日本国内で適用される電気安全規制や仕様を事前に確認し、必要なら電気部品は日本側調達として家具には取付スペースだけを設ける選択肢もある。
木質材料の資料を確認する
国土交通省は、告示対象建築材料を使用した造り付け家具やキッチンキャビネット等についてホルムアルデヒド規制の対象となることを示している。ホテルで固定して使用する木質造作家具では、用途と使用材料を設計者が確認し、必要となる等級や認定資料を製造前に揃えることが重要だ。
客室タイプ別にBOMを作る
ツイン、ダブル、スイートなど客室タイプごとに家具数量が異なる。部屋番号と家具品番を対応させたBOMを作成し、梱包番号にも反映する。現場では階別または客室別に搬入できるよう物流会社と調整する。
補修部品を初回に確保する
ホテルは長期間運営するため、ヒンジ、レール、取手、LEDドライバーなどの交換部品を初回に予備納品しておく。特殊色の突板や張地も補修分を確保するとよい。
チェックポイント
- 標準客室一室を量産前に完成させる
- 家具と設備の取り合いを確認する
- 材料サンプルをマスター化する
- 客室タイプ別BOMを作る
- 箱番号と部屋番号を連携する
- 補修部品を初回納品に含める
ホテル家具では単価を数%下げることより、同一不良を100室へ展開しないことの方が経済効果は大きい。モックアップは余分な工程ではなく、量産リスクを一室に限定するための投資と考えるべきである。
