中国工場への支払い条件|前金・残金の決め方と送金前チェック

支払い条件は品質管理と連動させる
中国工場へのOEM発注では、材料購入や生産開始のために一定の前払いを求められることがあります。ただし支払い条件は工場ごと、製品ごと、取引実績ごとに異なり、一律の「正しい前金率」が存在するわけではありません。重要なのは、どの工程を確認した時点で次の支払いを行うかを設計することです。
全額前払いのリスク
全額を製造前に支払うと、発注者側は製造遅延や品質問題が発生した際の交渉余地が小さくなります。一方、工場側も初回取引で材料費を負担して生産するリスクを取りたくありません。双方のリスクを分ける支払い設計が必要です。
支払い工程を分けて考える
例えば契約時、生産開始時、完成検品後、出荷時などのマイルストーンに分けます。具体的な比率は工場との交渉事項ですが、「残金支払い条件=完成したという工場の連絡」だけにせず、写真、検品報告、修正完了など確認可能な条件と結び付ける方法があります。
送金先を必ず確認する
見積書や契約書に記載された会社と銀行口座名義が異なる場合、その理由を確認します。中国国内工場が輸出会社を利用するなど合理的なケースもありますが、担当者個人の説明だけで判断しないことが重要です。
特にメールで突然「銀行口座が変わった」と連絡された場合は注意が必要です。メールアカウント侵害などによる送金先変更詐欺は国際取引全般で警戒すべきリスクです。既知の連絡先を使った別経路で確認するなど、社内手続きを決めておきます。
通貨と銀行手数料
USD、CNYなど契約通貨を明確にします。送金銀行、中継銀行、受取銀行で手数料が発生する可能性があるため、工場が受領すべき金額との不足が生じないよう条件を確認します。また為替変動をどちらが負担するのかも見積有効期限と合わせて確認します。
追加費用の管理
量産中に材料変更、数量追加、図面変更、特別梱包などが発生すると追加請求につながります。工場が作業を進めてから請求するのではなく、変更内容、追加額、納期影響を事前承認するルールを作ります。
残金支払い前に確認すること
- 発注数量が完成しているか
- 出荷前検品が完了しているか
- 不良修正が終わっているか
- 付属品・予備品が揃っているか
- 梱包条件が確認できているか
- 出荷書類の内容に問題がないか
継続取引では条件を見直す
初回取引と数年間継続した工場で同じ支払い条件を使い続ける必要はありません。取引量、品質実績、納期実績、信用関係に応じて条件を再交渉する余地があります。一方、価格を下げる代わりに極端な前払い条件を要求される場合は、価格だけで判断しないことが重要です。
実務チェックポイント
- 契約法人と受取口座を照合する
- 支払い条件を契約前に決める
- 残金支払いを検品工程と連動させる
- 口座変更は別経路で再確認する
- 追加費用は事前承認制にする
- 送金記録と請求書を案件ごとに保存する
支払い条件は単なる経理条件ではなく、製造プロジェクトのリスク管理手段です。「安い代わりに全額前払い」など条件全体を見ずに単価だけを比較しないことが重要です。