中国工場に渡す図面の作り方|寸法・公差・材質を曖昧にしないOEM仕様書

結論:工場との認識差は「説明」ではなく図面でなくす
中国工場へ店舗什器や家具を依頼するとき、「この写真のように作ってください」「幅500mmくらい」といった指示だけで量産に進むのは危険です。担当者と口頭では理解できていても、情報が生産管理、材料調達、溶接、塗装、検品担当へ伝わる過程で内容が変わる可能性があります。
OEMでは、誰が読んでも同じ製品を作れる図面と仕様書を作ることが基本です。
外形寸法だけでは足りない
例えば幅550mm、高さ1,200mmの金属ラックでも、使用するパイプの断面、板厚、棚板厚、接合位置、穴径、ボルト規格が違えば強度とコストは大きく変わります。
最低限図面に入れる項目
- 全体寸法
- 部品ごとの寸法
- 材質
- 材料厚
- 穴位置・穴径
- 溶接位置
- ボルト・ナット仕様
- 表面処理
- 色
- 寸法公差
重要寸法と参考寸法を分ける
すべての寸法へ厳しい公差を設定すると製造コストが上昇します。例えば店舗什器で隣接部品と嵌合する部分は精度が重要ですが、外観に影響しない場所は多少のばらつきを許容できる場合があります。
図面上で重要寸法を明確にし、必要な部分だけ適切な公差を設定することが量産性とコストのバランスにつながります。
材質名だけでなく規格まで合わせる
「ステンレス」「鉄」「木材」だけでは材質指定として不十分です。ステンレスであれば具体的な鋼種、鋼板なら規格や板厚、木材なら樹種や合板仕様など、品質に必要な範囲まで特定します。日本側で特定規格が必要な商品では、同等材への勝手な変更を禁止します。
色は写真で指定しない
スマートフォン写真、パソコン画面、WeChat画像では表示色が変わります。塗装製品なら利用できる色見本や実物サンプルを承認し、量産基準として双方で保管します。艶の有無、表面の凹凸、塗膜感も必要に応じて指定します。
中国語併記が有効
日本語図面だけを営業担当へ送り、担当者が工場内部で翻訳すると誤訳が発生する可能性があります。重要項目は中国語または英語を併記し、材料名や加工方法について工場側から確認を取る方法が有効です。
| 曖昧な指示 | 改善例 |
|---|---|
| 丈夫に作る | 材料厚・耐荷重を指定 |
| 黒 | 承認色見本を指定 |
| きれいに溶接 | 溶接・研磨箇所を図示 |
| 写真と同じ | 寸法図と仕様表を作成 |
図面承認の手順
- 日本側が要求図を提出
- 工場が生産図面を作成
- 双方で寸法・材料を確認
- 修正版に版番号を付与
- 最終図面を承認
- 承認版だけを量産に使用
OEM品質は工場の技術力だけで決まるのではなく、発注者がどれだけ製品仕様を定義できるかで大きく変わります。図面は見積資料ではなく、製造・検品・トラブル処理の基準となる重要書類です。