「重飲食可」の物件でも焼肉・中華・ラーメンが営業できるとは限らない

結論:「重飲食可」は法令上の統一された営業保証ではない
店舗募集でよく見る「重飲食可」という表現だけで、希望業態が営業できると判断してはいけません。焼肉、中華料理、ラーメン、焼鳥、天ぷらなどは煙、油、臭気、熱量、必要ガス容量が大きく異なります。貸主が考える「重飲食」と借主が想定する業態が一致しているとは限りません。
最初に業態を具体的に伝える
「飲食店をやります」ではなく、「炭火焼鳥」「焼肉」「豚骨ラーメン」「中華炒め物中心」など調理方法まで伝えます。炭、薪、ガス、電気など熱源についても説明します。
可能であれば申込書や契約書に業態を記載し、貸主承諾の範囲を明確にします。
最大の問題は排気
重飲食では大量の油煙や臭気が発生します。既存ダクトがあっても、断面積やファン能力が不足していれば利用できません。排出口が2階窓の近くにあるなど、周辺へ臭気が流れる構造なら苦情につながります。
確認するのはダクトがあるかではなく、ダクト径、経路、排出口位置、ファン能力、清掃可能性です。
給排水とグリース阻集器
東京都下水道局は、飲食店等について油脂分を下水へ流出させないためグリース阻集器の設置と適正な維持管理を求めています。既存設備がある場合でも、業態や排水量に対して能力が適切か確認が必要です。
食器洗浄機などから高温排水を大量に流す配置も阻集能力に影響するため、厨房設計段階で検討します。
ガス・電気容量も業態ごとに違う
中華レンジや大型茹で麺機を使う店とカフェでは必要な設備能力が全く異なります。既存ガス管があるだけで十分とは限りません。電化厨房の場合も建物の受電能力を確認します。
近隣条件を確認する
上階が住宅の場合、深夜営業、臭気、ファン音、搬入、ゴミ保管などが問題になりやすくなります。管理規約や賃貸条件で営業時間が制限されるケースもあります。
契約前の確認項目
- 具体的業態を貸主へ書面で伝える
- 使用する熱源を伝える
- ダクト径・経路・排出口を調査する
- グリース阻集器と排水能力を確認する
- ガス・電気容量を確認する
- 営業時間制限を確認する
- 炭・薪などの使用可否を確認する
- 消防署や保健所への事前相談が必要な事項を整理する
「重飲食可」は物件探しの検索条件としては便利ですが、最終判断の根拠にはできません。希望する調理方法を前提に設備と契約条件を個別確認することが必要です。
