飲食店の壁面家具は現場採寸後に作る|設計寸法と製作寸法を分ける理由

結論:建築図面の寸法をそのまま製作寸法にしない
飲食店で壁面収納、ベンチソファ、バーカウンター、レジカウンターなどを海外製作するとき、最も避けたいトラブルが「現場に入らない」ことである。図面上3000mmの壁でも、下地、石膏ボード、タイル、左官仕上げなどによって完成寸法は変わる。建築図面は設計の基準であり、造作家具の最終製作寸法とは分けて考える必要がある。
採寸できる工程まで製造を待つ品目を決める
椅子や独立テーブルは早期製造できる。一方、壁から壁へ納める家具、柱を囲む家具、設備配管と接続する家具は現場寸法確定後に製造した方が安全だ。全品を同時発注するのではなく、独立家具と現場依存家具に分けて製造開始日を設定する。
フィラーを設計する
壁いっぱいに家具本体を作らず、左右に調整材を設ける方法が有効である。例えば壁の不陸や数ミリの誤差をフィラーで吸収し、現場で切り合わせる。巾木がある場合は家具側に逃げを設ける。見付け寸法を意匠設計者と決めておけば、調整材もデザインの一部として処理できる。
高さ方向も確認する
床のレベル差、天井の傾き、梁下寸法も確認する。特に古いビルの改装では、図面上水平でも実際には床や壁が完全な直角ではないことがある。レーザー測定器などを用いて複数地点を測定し、最小寸法を基準に検討する。
設備との干渉を確認する
レジカウンターでは電源、LAN、POS機器、配線孔、収納機器が集中する。洗面台では給排水、バーではシンクや冷蔵庫との取り合いがある。家具単体図だけではなく、設備図を重ねて確認する。工場へ「穴を開けておいて」と指示する場合は穴径と中心位置を数値で指定する。
採寸結果を製作図へ反映する
現場から寸法をチャットで送るだけでは事故につながる。採寸値を製作図へ反映し、日本側の設計者または施工担当者が図面上で最終承認する。承認後の図面には日付とRevision番号を付ける。
チェックポイント
- 現場依存家具を最初に分類する
- 仕上げ完了後に必要箇所を実測する
- 壁際には調整用フィラーを設ける
- 床・壁・天井を複数地点で測定する
- 設備図と家具図を重ねる
- 最終寸法は製作図で承認する
海外工場は図面通りに製作することはできても、日本の現場寸法を知ることはできない。現場側が正確な情報を製作図へ戻す仕組みが必要である。数ミリの確認を省略した結果、数週間の再製作になることを避けるため、採寸を正式な調達工程として扱いたい。
