中国工場へ渡す家具図面の作り方|寸法だけでは足りない発注図の必須項目

図面は中国工場との「共通言語」
飲食店のカウンター、棚、ベンチシート、テーブルなどを中国工場へ製作依頼する場合、完成品質を左右するのが図面である。写真と寸法だけを送って製作を依頼すると、見た目は似ていても内部構造、材料、金物、仕上げが想定と異なることがある。
特に日本の設計図は現場施工を前提としており、家具工場が製造するために必要な情報が不足している場合がある。設計図をそのまま工場へ送るのではなく、製作用図面へ落とし込む工程が必要になる。
最低限必要な図面
- 正面図
- 平面図
- 側面図
- 必要箇所の断面図
- 詳細図
外寸だけでなく板厚、内部寸法、棚位置、扉寸法、脚位置などを記載する。カウンターなら設備配管やコンセントとの取り合いも確認する。
材料は「木」ではなく具体的に書く
「wood」「metal」程度の指定では不十分である。例えば木質家具なら基材が合板、MDF、パーティクルボード、無垢材などで異なる。表面も天然突板、メラミン化粧板、塗装など複数ある。
| 項目 | 図面・仕様書への記載例 |
|---|---|
| 基材 | 合板、MDF等 |
| 表面 | 天然突板、化粧板等 |
| 金属 | ステンレス、スチール、アルミ等 |
| 仕上げ | 塗装、メッキ、粉体塗装等 |
| ガラス | 厚み、種類、加工 |
| 石材 | 種類、厚み、仕上げ |
金物を図面から落とさない
ヒンジ、スライドレール、キャスター、取手、アジャスターなどは家具の使い勝手を左右する。ブランド指定があるならメーカー名と型番を記載する。中国製品を使用する場合でも、形状、機能、耐荷重など必要条件を明確にする。
飲食店では清掃時に家具を動かすことが多いため、キャスターや脚部の耐久性が重要になる。カウンター扉は一日に何度も開閉するため、金物の品質を軽視できない。
電気部品を組み込む場合
LED照明、コンセント、USB電源などを家具へ組み込む場合、家具図面に電気部品の位置、配線経路、点検方法を記載する。日本で使用する電気用品については、電気用品安全法の対象となるかを別途確認する必要がある。
最も重要なのが図面の版管理
中国工場とのやり取りでは、WeChatやメールで変更が繰り返される。「昨日送った図面」「最後に直した図面」という管理では事故が起きる。
図面には図面番号とRevisionを設定し、例えばF-001-R03のように管理する。量産前には承認版をPDF化し、「R03を量産承認図とする」と双方で確認する。
変更指示はチャットだけで終わらせない
「高さを50mm変更」「棚を一枚追加」とチャットで指示した場合、その内容を必ず最新図面へ反映する。営業担当が理解していても、工場の設計担当、生産担当まで情報が届いているとは限らない。
図面承認前のチェックリスト
- 外形寸法
- 板厚と内部構造
- 材料と表面仕上げ
- 木目方向
- 金物
- ガラス・石材
- 電装部品
- 床・壁への固定方法
- 搬入可能な寸法か
- 組立方法
- 図面番号とRevision
中国工場の製造精度だけを問題にする前に、日本側が製造可能な情報を提供できているかを確認する必要がある。良い図面は品質基準であると同時に、見積基準、検品基準、トラブル発生時の判断基準にもなる。OEM家具では「図面を作る時間」を削ることが、結果として最も高いコストになることがある。
