中国工場との契約書で必ず決めたい12項目|OEM家具・店舗什器のトラブル防止

契約書はトラブル後ではなく製造前に役立つ
中国工場との取引では、WeChatやメールで価格と納期を確認し、そのまま送金して製造を開始するケースがある。しかしオーダー家具や店舗什器では、製造途中で仕様変更、不良、納期遅延などが発生する可能性がある。
契約書の目的は相手を訴える準備だけではない。製造前に「何を、いくらで、いつまでに、どの品質で作るか」を整理し、双方の認識差を減らすことに大きな意味がある。
最低限確認したい12項目
- 契約当事者
- 商品・数量
- 価格
- 支払条件
- 承認図面
- 材料仕様
- 品質基準
- 納期
- 検品方法
- 不良品対応
- 知的財産・秘密保持
- 紛争処理
契約相手と送金先を確認する
最初に重要なのは「誰と契約しているか」である。営業担当の個人名ではなく法人の正式名称を確認する。見積書、契約書、Commercial Invoice、銀行口座名義が異なる場合は理由を確認する。
香港法人や貿易会社を介して決済する取引もあるため、名義が違うこと自体を直ちに問題視する必要はない。しかし第三者口座への送金をチャットだけで指示された場合は慎重に確認する。
商品仕様を契約書本文だけで説明しない
複雑な家具仕様を文章だけで記載するのは困難である。契約書から承認図面、材料仕様書、承認サンプル、見積明細を参照できるようにする。
例えば「Drawing No.F-001 Rev.04」を契約上の製造基準にすれば、古い図面で製造された場合の判断が明確になる。
納期は「30日」だけでは不足
30日が着手金入金からなのか、図面承認からなのか、材料承認からなのかを明確にする。また「完成日」と「船積可能日」は異なる。
飲食店では開業日から逆算して、中国工場完成、検品、再修正、輸出通関、海上輸送、日本通関、国内配送、施工の時間を確保する。
不良品の定義を品質仕様書へ
「品質問題があれば工場が責任を負う」という条文だけでは、何が品質問題なのかで争いになる。寸法公差、外観基準、材料、色などを別紙仕様書で定義する。
知財条項も重要
日本側が独自に設計した家具を中国工場へOEM発注する場合、図面、デザイン、ブランド、技術情報の扱いを決める。秘密保持、第三者への図面提供禁止、無断生産・販売禁止などを検討する。
ジェトロは中国における知財情報や日中クロスボーダー向けモデル契約関連資料を公開している。重要な独自デザインやブランドを扱う案件では、専門家による契約・権利確認も検討したい。
実務チェックポイント
- 会社の正式名称を確認する
- 契約名義と送金口座を照合する
- 承認図面番号を契約へ入れる
- 材料変更を事前承認制にする
- 検品合格と残金支払を関連付ける
- 納期の起算日を明確にする
- 不良時の再製作・補修方法を決める
- 図面・デザインの無断使用を禁止する
中国工場との契約では、長い契約書を作ること自体が目的ではない。製造現場で起こり得る問題を事前に想定し、判断ルールを文書化することが重要である。特に初回取引や大型店舗案件では、チャット履歴だけに依存しない取引管理が必要になる。
